ラッセル・ウェストブルック

戦いぶりには収穫もあり、指揮官は「これは成長の痛み」と余裕

レイカーズはニックス相手に一度もリードを奪うことなく100-106で敗れた。それでも、レブロン・ジェームズが出場停止、アンソニー・デイビスが体調不良という状況で、このところの低調なパフォーマンスを脱したという意味で収穫はあった。

デイビスは発熱があってホテルで寝ていたが、試合開始直前に会場入りして34分プレーした。それでも、いつもの力強さを欠いたのは間違いない。「体育館に来て、着替えたらすぐに試合に出る。まるでAAUだ。最初の数分はリズムに乗ることだけを考えなきゃならなかった」とデイビスは言う。

相変わらずレイカーズは迷走している。特にディフェンスでは簡単にワイドオープンを作られ、バックカットを許し、ボールへの執着心も足りない。ベテランが多いことでのメリットであるバスケIQの高さよりも、肝心な場面でのエネルギー不足が目立つ。それでもこの試合では、劣勢の中でもボールに食らい付くエネルギーが見られた。

チームを引っ張ったのはラッセル・ウェストブルックだ。『ミスター・トリプル・ダブル』は31得点13リバウンド10アシストを記録。特に後半は25得点を挙げ、攻守にエネルギー満点の彼らしいプレーを見せた。「話はシンプルで、これまではハードにプレーしていなかった。もっとハードにプレーするんだと決めて、大きな違いが生まれた」とウェストブルックは言う。

ウェストブルックの問題はターンオーバーで、この試合でも6を記録しているのだが「自分のやるべきプレーをして、アグレッシブに攻めた。その意味では良い仕事ができた」と、あまり気にしていない。

その彼をデイビスも擁護する。「開幕からずっと言っているのは『君らしくやってくれ』なんだ。多くの場合、ミスがあると消極的になり、他の選手を探してしまう。でもそうじゃない、僕らが必要としているのは攻撃的な彼だよ」

ウェストブルックもそれは理解している。「前半は周囲を生かすことを考えていた。第3クォーターになって攻めるしかない状況だったから、それで上手くいったんだ」

ウェストブルックに限らず、いまだレイカーズは手持ちの戦力をどう組み合わせ、どうプレーすることで個々の持ち味を引き出せるかを試行錯誤している。勝てないことで批判の声は高まっているが、指揮官のフランク・ボーゲルは落ち着いた表情でこう話す。「チーム作りのプロセスの初期には苦労するものだ。これは成長の痛みだよ。ラス(ウェストブルック)のことは理解している。彼はレブロンが不在の試合で素晴らしい闘争心を見せてくれた」

負けても善戦したことで褒められるのは、優勝候補らしからぬ姿ではある。ただ、自分たちの現在地を把握し、受け入れなければ前には進めない。今は苦しい時期だが、経験豊富なチームはそこから抜け出す方策を知っているはずだ。

残る問題はレブロンだ。ピストンズ戦でアイザイア・スチュワートの顔面を殴ってしまったことで乱闘騒ぎになり、1試合の出場停止処分を受けた。当然とも言えるが、レイカーズの面々はレブロンが処分を受けるべきではないと考えている。
デイビスは「出場停止になるとは思わなかった」と語り、こう続けた。「手が顔面に当たることなんて日常茶飯事だ。やられた選手がそのたびに激怒して、あんな騒ぎを起こすと思うかい? 僕だっていつもやられているけど、僕がああやって暴れたら、殴った選手は出場停止になる? そんなの馬鹿げてるよ」