ずっと変わらない新シーズンの迎え方
千葉ジェッツは、先日行われたアーリーカップ関東大会を3位で終えた。すべての試合で先発を務めた西村文男は「今回の大会に限ってはどのチームも一番良いパフォーマンスで試合ができている状況ではないので、その中で評価をするというのはあまり考えていない」と、あくまでプレシーズンであることを強調する。「8月頭からハードに練習しているので、そのあたりから『始まった』という意識はあります」と話すが、あくまで意識は10月の開幕に向けられている。
アーリーカップでは富樫勇樹が代表で不在、シーズンが始まっても代表活動はあり、水曜開催の過密日程が増えることで、千葉では2番手のポイントガードを託される西村の役割は重みを増している。ただ、本人に必要以上の気負いはない。「良かった時は継続、良くない時はなぜ良くないかを考えるというスタンスはずっと変わっていません。富樫がいてもいなくても、目指すところは昨シーズンと同じなので、変わらないです」と、来たるべき開幕を落ち着いて迎える。
「この年齢ですし、最初で出ようが出まいが自分が試合に出ている時間帯でやることは変わりません。気持ちに左右されるプレースタイルを求めてるわけではないので、常に同じようなスタンスでいたいですね」
「昨シーズンもそうですけど、第2クォーターのスタートでは絶対に出してもらっていました。その時間帯で自分がどういうパフォーマンスをするのかが大事になってきますし、それが良ければ第4クォーターもずっと出ることもありました。自分が良いパフォーマンスをすれば、長く出て大事な時間帯でも使ってもらえるという、大野(篤史ヘッドコーチ)さんの考えというかチームのスタンスを分かっているつもりです。だからこそ『スタートじゃないから目立ってやろう』とか、そういう気持ちはないです」
「試合に出れなかったらすぐにカットされる」
アーリーカップ初戦、横浜ビー・コルセアーズと対戦時、西村は普段使っていないマウスピースを使い、「毎回、つけたらオエってなっちゃうんです(笑)」と苦笑していた。練習中に藤永佳昭との接触で口を切ったのがその理由で、それだけ激しい練習を普段からしているということ。
取材に応じる口調こそ落ち着いているが、内に秘める闘争心は強いし、コートに立てばそれは試合でも練習でもプレーに表れる。「千葉ジェッツは、競争意識がどこよりもあると思います。正直、そこの競争に負けたら試合に出れないですし、試合に出れなかったらすぐにカットされる。生き残るために必死な部分はあります」
ただ、この『必死な部分』がセルフィッシュになることなく、チームの勝利が自分のアピールになると考えられるのが、西村の余裕であり、ベテランらしい部分だ。「どう『すごい』を見せるかにもよりますが、僕の考えではチームが勝てば『俺はすごいぞ』なので。正直、アシストは気にします。でもスタッツは昔ほど気にしなくなりました。そこの評価は大野(篤史)さんにしてもらえているので、僕は満足というか、納得してバスケやらしてもらっています」
西村は飄々としながらも、しっかりとした『芯』を持っている。節目となる10年目のシーズンも、チーム内競争と試合に勝つことで自らの評価を高めていくに違いない。
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