川崎ブレイブサンダース

フリースローを決め切れず混戦に持ち込まれる

川崎ブレイブサンダースは11月10日の水曜ゲームで新潟アルビレックスBBと対戦。両チームともにミスが多く、流れに乗り切れないこともあって最後までもつれる接戦となったが、トリプル・ダブルまであと一歩(23得点10リバウンド9アシスト)のニック・ファジーカスが決勝点を沈めた川崎が82-81で競り勝った。

試合序盤、川崎は長谷川技の連続3ポイントシュート成功など攻守の素早い切り替えで作ったチャンスを確実に決め11-4と先行する。しかし、新潟もロスコ・アレン、納見悠仁が外から確率良くシュートを決めて追いつく。

第2クォーターに入ると、両チームともイージーミスなど拙攻が続いてリズムに乗れず膠着状態に陥る。川崎はオフェンスリバウンド6本とゴール下で優位に立ちながらも、このクォーターのフリースローが9本中3本の成功に終わるなどセカンドチャンスを決められず突き放せない。新潟は前半だけで17得点のアレンの活躍で応戦し、新潟の37-36と互角でハーフタイムを迎える。

後半に入っても僅差で試合は推移するが、第4クォーター途中から篠山竜青のレイアップなどチーム全体でインサイドを攻めた川崎がリードする。だが、試合全体で29本中15本成功に終わったフリースローを、引き続き多く外して突き放しきれない。するとここまで我慢して食らいついてきた新潟に流れが来る。残り1分、川崎とは対照的に池田雄一がフリースロー2本をきっちり決めて1点差に詰め寄ると、直後にターンオーバー奪取からの速攻でジェフ・エアーズがダンクを成功させて残り37秒で逆転する。

その後、新潟の2点リードで残り17秒から川崎のオフェンスとなるが、ここで新潟はアレンがサイドラインからボールがコートに入る前に痛恨のファウル。第4クォーター残り2分以降、アウト・オブ・バウンズからプレーが始まる際、ボールがスローインする選手の手の中にある時にファウルすると、アンスポーツマンライクファウルとなるため、川崎はフリースロー2本、続けてオフェンスと千載一遇の好機到来となる。

ここでもパブロ・アギラールがフリースローを1本しか決められないが、次のオフェンスでファジーカスがミドルシュートを決めて逆転。最後、新潟はアレンがドライブを仕掛けコンタクトがあった中でレイアップを放つがシュートは外れ、ファウルもコールされずに川崎がなんとか勝ち切った。

川崎ブレイブサンダース

納見悠仁「あとは勝ち切る力をつけたい」

連勝を4に伸ばした川崎の佐藤賢次ヘッドコーチは「最後にしっかり勝ちきれたことは大きいと思います」と振り返る一方で、「なかなか流れをつかめず、正直、反省点の多い試合になりました」と苦い表情を見せる。実際、川崎はフリースローを筆頭に拙い試合運びだったことは否めない。「自分の反省点としては全員で戦うプランを立てながら、それができなかったところです」と語ったあと、指揮官は課題をこう続ける。

「オフェンスはシュートチャンスをしっかり作れていましたが、決めるべきシュートをしっかり決めないと流れは来ないです。ディフェンスに関しては、最後に1対1からタフショットを打たせることは大体、できていたと思います。しかし、そこで決められてしまうとメンタルが落ちてしまい、オフェンスに影響してしまう。それでシュートが入らず戻らなかったりと、まだまだ弱さがあります。本当の意味で常勝チームになるために、その部分をみんなで考えていきたいと思います」

一方、新潟はこれで痛恨の9連敗となった。この連敗中、新潟は多くの試合で惜敗が続いているが、今回も自らのミスで崩れクロスゲームを落とす勝負弱さを克服できなかった。対戦相手を見ると川崎以外にも、シーホース三河、アルバルク東京、琉球ゴールデンキングスと強豪相手にも終了間際まで勝敗が分からない激闘を演じており、今の2勝10敗の成績ほど戦力が劣っているようには見えない。ただ、同時に惜敗と勝利の間には、少なくない隔たりがあるのも事実だ。

この負の流れを変えるにはチーム全員のステップアップが不可欠だが、中でもキーマンに挙げたいのは司令塔の納見悠仁だ。大卒2年目の彼は、10月22日の三河戦から先発で起用されると、川崎戦も含め6試合連続で30分以上、ここ3試合連続で35分以上出場と大きな責任を担っている。

その上で、この試合ではシーズンハイの17得点を挙げたが、第4クォーターでの3つを含む7ターンオーバーとミスも目立った。納見は、自身の課題をこう語る。「長い時間使ってもらっている中、相手にプレッシャーをかけられたり、パスを探してしまっている時にミスが出ています。そこで負けない強さは絶対に必要で、プレッシャーリリースをやっていかないといけないです。それを乗り越えればワンステップ上にいけます」

そして連敗ストップへの強い意気込みを見せる。「一つひとつの細かい部分を突き詰められれば個人として成長し、チームとしてクロスゲームを勝てるようになります。ここまでの展開を作れているのは、どこを相手にしてもやりあえる力がある証拠だと思います。あとは勝ち切る力をつけたいです」

今週末、新潟は敵地に乗り込んで千葉ジェッツ戦と、強豪との相手が続く。しかし、千葉相手に連敗を止めることができれば、それは最高の形で代表ウィークを伴う約3週間のブレークを迎えられることになる。そのためにも納見がステップアップし、チーム全体を引き上げていく姿に期待したい。