「夢はかなうと信じて、これまで努力を続けてきた」
現地11月8日、2020-21シーズン優勝チームのバックスが、ワシントンDCにあるホワイトハウスを訪れ、ジョー・バイデン大統領と面会した。
NBA優勝チームがアメリカ合衆国大統領を表敬訪問し、優勝を報告したのは2015-16シーズン優勝チームのキャバリアーズ以来、実に5年ぶり。それまではワシントンDCを本拠地とするウィザーズとの試合が組まれている日程に合わせてホワイトハウスを訪問するのがNBA優勝チームの習わしだったのだが、前大統領を務めたドナルド・トランプ氏の就任以降は、同氏の政治観に対する見解の違いから訪問を見合わせていた。
バイデン大統領から祝福され、チームを代表して壇上に上がったエースのヤニス・アデトクンボは「この素晴らしい機会に感謝しています」と語った。
ギリシャ出身のアデトクンボは、両親がナイジェリア出身の移民だ。アデトクンボも幼い頃から貧しい生活を送り、路上でアクセサリーなどを売って生活の足しにしていた時期もある。バスケットボールの才能に恵まれて選手として頭角を現したとはいえ、不法移民の子供だった関係で2013年のNBAドラフト直前までギリシャの市民権を与えられていなかった。
そうした境遇の彼は、壇上で次のように続けた。
「僕はギリシャのセポリア地方出身で、ナイジェリア人の両親に育てられた。両親は食べ物にも困る苦しい生活を送り、僕たちを食べさせるのがやっとだった。不法移民で、ギリシャを母国と呼べない時期もあった。そんな僕がホワイトハウスに招かれ、アメリカ合衆国大統領に会うことができるなんて、これほど光栄なことはない」
「何よりも先に、家族に対する感謝の気持ちを言わせてほしい。僕にとって家族は非常に大きな存在だ。僕たちのために多くを犠牲にしてくれた家族の存在があったからこそ、NBAで優勝できた。今日この場にはいないけど、いつも僕の心の中には家族の存在がある。まず、家族に感謝の気持ちを伝えたい」
「そしてバックスファンにも感謝している。彼らは世界最高のファンで、いつだって僕たちを支えてくれる。チームがNBAワーストチームだった頃からサポートしてくれていて、それから8年が経ち、僕たちはNBAベストチームにまで上り詰めることができた。ファンのサポートがなければ、僕たちは何も成し遂げることができなかった」
「そして、僕たちが今日この場にいるということが、世の中の全ての人たちにとって手本になるのだと思う。自分が情熱を傾けられるものに身を捧げ、日々努力して研鑽を積み、自分の夢はかなうと信じることが大切なんだ。僕はそう信じてこれまで努力を続けてきて、今日ホワイトハウスを訪れるに至った。ハードワークがなければ、この場に立つことはできなかったと思う」