率先してルー、スポールストラに助言を得る
2016年にレイカーズのヘッドコーチに就任したルーク・ウォルトンに課せられた役目は、若い選手を育て、名門再建の土台を作ることだった。その仕事は2年目の昨シーズンも変わらず、手塩にかけたロンゾ・ボール、ブランドン・イングラム、カイル・クーズマ、ジョシュ・ハートら若手コアは順調に成長している。
ところが、今オフにレブロン・ジェームズが加入したことでウォルトンの役割は大きく変わろうとしている。これから彼が果たすべき使命は、若手育成の他、レイカーズに17回目の優勝をもたらすこととなった。球団はレブロンを獲得後も、ラジョン・ロンド、ランス・スティーブンソン、ジャベール・マギー、マイケル・ビーズリーという実力者をロスターに加え、激戦区である西カンファレンスでプレーオフに勝ち上がれるだけの戦力を集めた。彼ら『個性派』を率いることも難しいが、輪をかけて難易度が高い仕事は、レブロンとの信頼関係を作ることに他ならない。
彼は生粋の勝者であり、巷では指導し辛い選手という意見もある。実際、レブロンのチームを優勝に導けた指導者は、ヒート時代のエリック・スポールストラと、キャブズ時代のタロン・ルーしかいない。ヒートからキャブズに復帰してからは、ユーロリーグ優勝経験のあるデビッド・ブラットがチームを指揮したが、就任から1年半後、チームが東カンファレンスの首位を走っていたにもかかわらず、キャブズはブラットを解任した。真相は明らかにされていないが、レブロンと折り合いが良くなかったことが指揮官交代の原因だったとも噂されている。
ブラットとウォルトンは経歴も異なるため、同じ結果になるとは言い切れない。それでもチームの柱であるレブロンの信頼をつかむことは、レイカーズを率いる上で欠かせない作業となる。ウォルトンは、ラスベガスでのサマーリーグ期間中、ルーとスポールストラに連絡を取り、レブロンを指導する上で必要なことを聞いた。そしてレブロン本人とも言葉を交わし、信頼関係を築ける自信を得たという。何よりも、現役時代にコービー・ブライアントとシャキール・オニールと一緒にプレーした経験が、今の自信に繋がっていると、ウォルトンは『ESPN』のラジオ番組に出演した際に語った。
「コービーとシャックのような選手と一緒にやって来たので、今の役割も問題なくこなせる。それに、私とレブロンなら上手くやっていけると思っている」
まだ38歳と若いが、ウォルトンはアリゾナ大学時代に、バスケットボール殿堂入りも果たしている名将ルート・オルソンの指導を4年間受け、レイカーズ時代には『禅マスター』ことフィル・ジャクソンの哲学を注入された。そして指導者に転身し、ウォリアーズのアシスタントコーチを務めた時には、ここ4年で3度も優勝に導いたスティーブ・カーの下で研鑽を積んだ。2015-16シーズンには、カーが体調不良でチームを離れた時期に代行ヘッドコーチとして指揮を執り、ウォリアーズは同年の開幕から39勝4敗というスタートを切った。カーをはじめ、ステフィン・カリー、クレイ・トンプソン、ドレイモンド・グリーンらは、ウォリアーズが73勝9敗をマークしてNBA年間最多勝利記録を更新したシーズン後、ウォルトンの手腕を称えている。
レイカーズが上昇するには、若手とベテランを融合させてのケミストリー構築に加え、レブロンとの強固な関係を築けるかどうかにかかっている。ヘッドコーチとして3年目を迎えるウォルトンの、新たなチャレンジが始まる。
Luke Walton mic'd up on @ESPNNBA for the #LakeShow pic.twitter.com/bGCYErqURW
— NBA (@NBA) 2018年3月12日