宮崎早織

徹底してインサイドを狙われリズムを崩すも、耐えて勝機を呼び込む

アジアカップの準決勝、日本代表はオーストラリアと対戦した。

日本はオリンピックメンバーからベテランを外し、若手中心のチームに切り替えたが、オーストラリアは東京オリンピックの出場メンバーが一人もいないチームでありながらニュージーランドに勝って準決勝へと駒を進めた。そのオーストラリアはピック&ロールからペイントエリアに飛び込む選手にタイミング良くパスを送る連携プレーで先手を取った。

しかし、日本もすぐさま林咲希、山本麻衣の3ポイントシュートで反撃に出る。山本はオコエ桃仁花とのハンドオフからドライブレイアップを決め、さらに前からのプレッシャーで相手ポイントガードから8秒バイオレーションを誘発する。その後も宮崎早織と宮下希保のブリッツでボール奪取に成功するなど守備の連係が機能。矢継ぎ早に選手を入れ替える日本は、開始8分で西岡里紗と永田萌絵が入ったところで全員出場。攻守両面でスピードとインテンシティを落とさず、オーストラリアが上々のスタートを切ったはずが20-12とリードして第1クォーターを終えた。

第2クォーターはオーストラリアのペース。インサイドで1対1を作ってはフックシュートを粘り強く沈める。これでペースを落とされた日本はリズムを崩し、外一辺倒の攻めで赤穂ひまわり、林が3ポイントシュートを決めるも後が続かない。ディフェンスでも序盤に見せたような連動、ローテーションの良さがなくなり、プレスに行ってはかわされインサイドを破られた。

31-36で迎えた後半、日本は強引にでもインサイドに仕掛けて外一辺倒を脱却することで主導権を奪い返す。馬瓜ステファニーが、オコエが、赤穂が、無理にでもアタックすることでオーストラリアを前に出させなくすると、山本が大きなディフェンス2人の間をくぐり抜けてバスケット・カウントをもぎ取るなど、日本のスピードのある仕掛けが復活した。ただ、プレータイムが主力に偏り、序盤のように常にフレッシュなメンバーが100%の力を出すバスケは復活しなかった。

53-55と2点ビハインドでスタートした第4クォーター、相手の3ポイントシュートは入っても日本には当たりが来ない我慢の時間帯が続く。それでもディフェンスでイージーシュートのチャンスを与えないのが第3クォーターとの違い。粘り強く守って簡単にリバウンドを与えず、少しずつ日本の得意な走る展開へと持っていく。

馬瓜ステファニー

明日の決勝では、圧倒的な強さで勝ち上がってきた中国と対戦

ドライブで縦に割って入った宮崎のキックアウトから林の3ポイントシュートが決まり、速い攻めから馬瓜のフリースローで逆転に成功する。さらに宮崎が再び豪快なドライブからジャンプシュートを沈め、直後のオーストラリアの攻めでは赤穂がブロックショットを決める。残り2分、一度は追い付かれるもすぐに赤穂が取り返し、それから試合終了まで日本は攻守に粘りに粘ってスコアを動かさなかった。攻めでは相手のディフェンスをこじ開けられず、3ポイントシュートも当たりがこない中で2度のオフェンスリバウンドを奪って時計を進め、ディフェンスでは相手のシューターに決して打たせず、ボールの出しどころを消していった。

こうして最終スコア67-65で日本が逃げ切った。3ポイントシュートが35本中11本成功(31.4%)と確率が上がらず、リバウンドで31-46、セカンドチャンスポイントでは5-14と相手の高さにやられる時間が長い中で、苦しい時間帯にフリースローで得点を繋ぎ、オーストラリアから23ターンオーバーを引き出したことで、何とか競り勝った。

それでも、立ち上がりの良い時間帯以外はベンチメンバーをなかなか使えずに、プレータイムが特定の主力に偏って全員バスケとはならなかった。さらに攻めも守りもプレーの引き出しの多さを見せられなかったのは課題だ。その中で勝てたのは林、赤穂を中心としたオリンピックに出場している主力選手の経験があったからこそ。悪い流れの中でも慌てない精神力の強さ、土壇場で力を出す勝負強さがあった。明日、ここまで圧倒的な強さで勝ち続けてきた中国と決勝で対戦する。