文=丸山素行 写真=Getty Images

リオで見つけた日本代表の課題は「40分間の継続力」

WNBAのシーズンを終えて昨日帰国した渡嘉敷来夢が会見に応じた。話は当然、WNBAからリオ五輪へと及ぶ。リオ五輪は日本代表にとって大いに収穫のある大会だったが、目標だったメダルには手が届かず。「善戦したが勝てなかった」という試合が悔やまれる大会だった。

渡嘉敷は言う。「オーストラリア戦とか35分くらいまでは良かったんです。40分戦う集中力だったり体力っていうのが一番大事、というのはすごく感じました。最初が良くても後半ダメだったり、逆に最初がダメで後半は良くて、結局負けたり。そうじゃなくて40分間しっかり自分たちのバスケットをできるようにならないと。40分間続けることを目標にしたいです」

決勝トーナメントで対戦したアメリカでは、渡嘉敷だけが『チームメートとの対戦』を経験した。ブリアーナと、そして正ポイントガードのスー・バードがストーム所属である。「チームメート2人と同じコートに立った時は変な感じだったんですけど、それでもすごくうれしかったし、逆に『日本代表での自分』を見てほしいと思いました」

そのアメリカ戦、前半は世界王者に食らい付く大健闘を見せたものの、後半には地力の差を見せ付けられ大敗。この試合を渡嘉敷が振り返る。「前半はすごく良い試合をしたんですが、じゃあ後半はどうしたんだって話で。どちらかと言うとアメリカがすごかったというよりウチのディフェンスがダメになってしまったんだと思います。だから40分間しっかりやらなきゃいけないですね」

もっとも、2020年の東京五輪に向けて良い刺激になったのは間違いない。「日本代表にとっては良い経験だったと思うので、それを次の世界大会だったり、また東京オリンピックに生かせれば。決勝で当たって次は私が金を取るんだぞってストゥーイーに言ってやりたいです」

渡嘉敷の話には頻繁にブリアーナが出てくる。よほど意識しているということだろう。「彼女はオフェンスがすごいんですけど、じゃあディフェンスはとなった時に、私は自分のほうがすごいと思っています。コーチもそのように言ってたんですよ。でも、彼女を見ていて、ボールを持った時に攻める姿勢は見習いたいとも思いました。ストゥーイーに負けないよう、自分もチームを引っ張っていく気持ちを持ちたいです」

帰国後すぐにWJBAが開幕「出る気でいるので」

アメリカとリオでの戦いを終えて日本に戻って来た渡嘉敷だが、休んでいる暇はない。JX-ENEOSサンフラワーズとシアトル・ストーム、日米の両チームを掛け持ちする渡嘉敷を次に待つのは、WJBA(女子日本リーグ)の開幕戦だ。

JX-ENEOSサンフラワーズは10月7日、代々木第二体育館で富士通レッドウェーブと対戦する。おそらく渡嘉敷にはしばらくの休養が与えられるだろうが、本人は「開幕戦は出る気でいるので。富士通さんが一番最初の相手なんでそこでは負けられないなって思っています」と言う。

「気持ち的に、アメリカが終わった、オリンピックが終わったからちょっとなあ、というのはなくて、まだまだうまくなりたいし、日本ではやるべきことが残っていると思うので。それに向けて気持ちを切り替えてやっていきたいと思います」

男子ではBリーグが始まったが、渡嘉敷は自分自身のことに集中している。「Bリーグはこれだけ盛り上がっているので、最初だけじゃなくずっと続いてほしいとは思います。できれば自分たちの女子が盛り上がってほしいという気持ちも強いので(笑)、負けないようついていきたいと思います」

さすがに全く休みを取らず開幕からWJBLでプレーするとなると疲労の蓄積から来るケガが心配だが、渡嘉敷が出場するとなれば会場が盛り上がるのは間違いない。いずれにしても、モチベーションには事欠かないということだろう。まったくもって、頼りになるエースである。

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