オーストラリア代表

アジアの大会で『世界』を経験させてくれるバスケ大国

バスケットボール男子日本代表が『世界』に挑む上で、身近でありながら頻繁に対戦できる強豪がオーストラリアだ。オセアニアがアジアに編入されたことは、FIBAの目論見通りにアジアのレベルアップを加速させている。そして今秋から始まるワールドカップのアジア予選でも、日本はオーストラリアと同グループとなりホーム&アウェーで対戦することになった。

そのオーストラリアには、2018年6月29日にワールドカップ予選で対戦し、日本代表が大金星を挙げている。それまでアジアでも勝てなかった日本からの脱却を印象付ける、大きな転機だった。八村塁とニック・ファジーカスが加わって戦力がアップしたのはもちろんだが、試合終盤はずっと1つのミスも許されない状況で集中を保ち続けたチームの強さがあったからこそ。勝敗だけでなくプレー内容についても、これだけの経験をアジアでさせてくれるチームはオーストラリア以外にあり得ない。

2018年6月の時点ではFIBAランキング10位だったオーストラリアだが、今では3位にジャンプアップしている。多くのNBAプレーヤーを擁しながら、国内組と上手く噛み合わせて強力なチームを作っていることも、日本にとっては今後良いお手本となりそうだ。

そして時差のないオーストラリアは、日本の若い選手が武者修行する場にもなっている。ワールドカップで大金星を挙げた直後に比江島慎がオーストラリアリーグでのプレーを決断して海を渡った。そしてNBA入りを目指す馬場雄大も、昨シーズンはメルボルン・ユナイテッドでプレーして、リーグ優勝に貢献している。ただサイズとフィジカルがあり、プレー強度が高い中でプレーするだけでなく、日本を離れて環境を変え、現地のチームのバスケ文化に適応することは、選手の人間力を大きく高める。馬場にとっては、その成果がこれから出てくるはずだ。

今は胸を借りる立場だが、いずれは(女子の代表がそうであるように)良きライバルとしてアジアのトップを争い、ともに世界の舞台で結果を出せるような関係性を、日本とオーストラリアの間で築いていってもらいたい。