「オンボールではなかなかノーマークを作ることができなかった」
昨日、日本代表は『アジアカップ2021予選』で中国と対戦し、57-66で敗れた。序盤から中国のフィジカル色の強いディフェンスに圧倒され、リードを奪えずタイムアップを迎えた日本にとって、9点差というスコア以上に世界との差を痛感させられた試合となった。
Bリーグトップクラスの突破力を持ち、スコアリングガードとして先発起用された富樫勇樹は、その差を最も感じた選手の一人だ。16分のプレータイムで、テクニカルファウルで得た1本のフリースローを含む5本のフィールドゴールすべてを外し、無得点に終わった。富樫も「数字通りだし、数字に表れないところも含めてチームを全く助けられなかった」と試合を振り返る。
中国が富樫へ最大級の警戒をしていたのは間違いない。それでも、その包囲網をかいくぐり、自らスコアするか味方にチャンスメークをするのが富樫の仕事である。
「かなり高い位置までビッグマンが出てきて、ピックに対してはアグレッシブにきた印象です。相手が出てきている分、ドライブだったり、いろんな形で崩せたとは思うので、僕としてはパフォーマンスとしては全然良くなかった」
富樫を起点としたピック&ロールが機能しなかったことが、得点が伸び悩んだ一番の要因となった。富樫は中国のディフェンスを評価するとともに、今後の課題を語った。「身長がある選手がたくさんいるけど、その中で縦も横も動ける選手が多い印象です。レベルが高くなればなるほどサイズも上がり、スイッチのシチュエーションが増えると思うので、それをどうやってブレイクしていくか。オンボールではなかなかノーマークを作ることができなかったので、そこは一つの課題かなと思います」
富樫にとって悔いの残る試合となったように、代表デビューを飾ったギャビン・エドワーズは孤軍奮闘するもファウルアウトに終わった。富樫は「ファウルトラブルでリズムが狂ってしまったとは思うけど、それは僕を含めたガード陣が生かしきれない部分があったから」と、千葉ジェッツでともにプレーするチームメートをかばった。
後悔ばかりしても結果は変えられない。そして、明日はチャイニーズ・タイペイ戦と、次の試合はすぐにやってくる。フリオ・ラマスヘッドコーチは「この3試合で17名の選手全員をローテーションで起用しようと思っている」と起用法について語ったため、富樫やエドワーズが今後の試合でエントリーされるかどうかは決まっていない。特に帰化選手枠は1つと限られており、特性が異なるライアン・ロシターとエドワーズのどちらかを選ぶかによってチームスタイルも変わるため、早めの判断が求められる。
富樫は言う。「長く同じ千葉でやってきて、こうやって一緒に代表のユニフォーム着てプレーできたのはうれしい。今日の試合では彼の実力を全然出せず、それ以上のものを持っている選手です。僕がどう彼の良さを引き出せるかが大事になる」
富樫が本来のパフォーマンスを出せれば、それはエドワーズのパフォーマンス向上にも繋がる。もちろん、これは2人が選出されるための大会ではなく、ロシターが選出された時も同じようにケミストリーを構築していかなければならない。ただ、エドワーズのポテンシャルを引き出しやすいのはチームメートの富樫だろう。日本が持つ可能性を多角的に示すためにも、次の機会ではまた違った富樫のパフォーマンスに期待したい。