ルカ・ドンチッチ

勝利への強い欲求がラフプレーに、自分で自分をコントロールできるか

5月9日のマーベリックスvsキャバリアーズの試合で、ルカ・ドンチッチは22分しかプレーしなかった。第3クォーターが始まってたった2分で退場処分を受けたからだ。キャブズが攻める状況、ボールのないゴール下でポジションを争う中で振り回した腕が、コリン・セクストンの股間を直撃。そのままセクストンを押し出したところでファウルを宣告された。テクニカルではなくフレグラント2での一発退場である。

ドンチッチが退場した時点で68-59とマブスが9点リード。その後も残ったメンバーが9連敗中のキャブズを寄せ付けず、第3クォーターのうちにリードを20点に広げ、最終スコア124-97で勝利した。

しかし、ドンチッチの行為は問題だ。ほんの数日前のネッツ戦で、今シーズン通算15回のテクニカルファウルをコールされたドンチッチは、「試合中は感情が高ぶってしまうから簡単じゃないけど、自分の悪い癖については理解している。しっかり対応しなきゃいけない」と反省していたにもかかわらず、今度はフレグラント2だ。試合によっては彼の退場がそのまま大きな負けに繋がりかねない。プレーオフになればなおさらだ。

試合後のドンチッチは「映像を見たよ。彼を殴ってしまったのは事実だけど、故意にやったものではないんだ。ただのリバウンドを争うボックスアウトで、ハンドチェックされれば振り払う。それが股間に当たってしまっただけ。審判が映像を確認している時も、ショットクロックの確認かと思っていた。だからフレグラント2と言われて本当に驚いた。全く予期していなかったんだ」

それでも、どの試合でも何度となく繰り返されるゴール下でのポジション争いで、相手選手の股間にパンチが入るケースはほとんどない。不幸な偶然の結果だとしても、彼には退場になったという事実が残るし、先週に続いての退場だ。

『バスケットボールは習慣のスポーツ』であり、身体に染み付いた動きが出るもの。セクストンへの行為は故意でなかったにしても不必要なものであり、「今後は気を付ける」程度の認識で改善されるものではない。試合中にフラストレーションを溜めるのは、勝利への強い欲求や負けん気の強さの表れであり、それが若きスター選手であるドンチッチの強さのベースとなっている。自身を動かす原動力であることは変えずに、行き過ぎる前に自分をコントロールする。その術を習慣として身に着けることができるかどうかが、ドンチッチにとって次の飛躍への大きなステップとなる。