アイラ・ブラウン

ハイペースで得点を奪い合う展開、終盤になって大阪が走り勝つ

西地区の2位と3位を争う大阪エヴェッサとシーホース三河。本来は3月に予定されていたこの試合は、新型コロナウイルスの影響で代替日程となり、両チームにとってレギュラーシーズン最後の連戦となった。大阪は勝てば2位が確定し、三河はホームで連勝すれば2位へと浮上できる。チャンピオンシップのクォーターファイナルのホーム開催を懸けた試合となった。

ジョシュ・ハレルソンにディージェイ・ニュービルと取るべき選手の得点で大阪が先行するが、シェーファー・アヴィ幸樹がアウトサイドのシュートを連続で決めてすぐに差を詰める。そこからはハイペースで得点を奪い合う展開に。三河はチームがお膳立てして金丸晃輔のフィニッシュへ持ち込み、金丸は前半だけで4本放った3ポイントシュートすべてを決めて14得点。大阪は三河のアグレッシブなプレスに煽られて軽率なターンオーバーが目立ったものの、それ以上にリバウンドでハッスルし、早い展開に持ち込んで得点を重ねていった。前半を終えて46-45と三河がわずかにリードしたものの、差が出ないまま試合は後半へ。

第3クォーターも一進一退の攻防が続く中、大阪はセカンドユニットの伊藤達哉がハイペースな展開の中でさらにペースを上げ、なおかつチャンスメークもミスなくこなしてチームを勢いに乗せる。ラスト3秒からの攻めは伊藤のお膳立てからギャレット・スタツのブザーと同時のダンクで締め。1ポゼッション差の攻防が続いていたが、74-70として第4クォーターへ。

三河は4月下旬にシェーン・ウィティングトンが戦線離脱。大黒柱のダバンテ・ガードナーもケガを押してプレーしている状況で、この試合ではスタメンから外れて出場時間は17分と制限された。第4クォーターは彼がフル出場したのだが、ガードナーを入れて追い上げようと攻めに意識が傾いた結果、逆に大阪に走られることに。走る展開になれば大阪に有利。リバウンドから速攻に転じて角野亮伍の3ポイントシュート、スタツの得点と連続で速攻を決め、2人のチェックをモノともせずにニュービルがバンクを使った3ポイントシュートを沈めて86-77と大阪がリードを広げていく。

角野亮伍

「シーズンを通して同じことを徹底する」大阪の強みが出た試合に

残り3分を切って、大阪の単調なパス回しにディフェンスが付いていけず、アイラ・ブラウンのコーナースリーを許して85-95と2桁差に。頼みのガードナーもハレルソンが巧みなマークでアタックする機会自体を与えない。金丸もニュービルにマークされ、試合序盤のように自分のタイミングで気持ち良くシュートを打てる機会を封じられた。

残り1分、ニュービルとの連携からフリーになった伊藤が3ポイントシュートを沈め、さらにファストブレイクからアイラが豪快なダンクを叩きこんで102-87。最終スコア102-90、大阪が接戦をモノにして西地区2位を確定させた。

大阪にとっては初のチャンピオンシップ進出で、一つの成功を収めたと言える。竹野明倫アシスタントコーチは「シーズンを通して同じことを徹底する、というのがチームとして大きくあって、誰がケガしようがどういう状況になろうが『これをやる』というのがはっきりしているのが大きい」と、新型コロナウイルスの感染に振り回される難しいシーズンを戦い抜いた要因を語った。

三河の鈴木貴美一ヘッドコーチは「前半はオフェンスもディフェンスも良かったのですが、後半から相手の得意なことをやらせてしまった」と試合を振り返る。ウィティングトンの欠場に続き、ガードナーもプレータイムを制限する状況で競った展開に持ち込むことはできたが、40分間続けることができなかった。ガードナーの状態については「まだ足が治っていない」とのこと。強みのインサイド陣が非常事態に陥っているが、シェーファーが得点の面で絶好調なのはポジティブな要素。今日も大阪の強力インサイドを相手に一歩も引かずに16得点を記録。ゴール下の混戦でダブルクラッチからファウルを誘ったり、速攻からユーロステップでの得点を決めたりと、オフェンス面で一皮むけた感がある。プレーオフまでにチームのコンディションをどれだけ戻せるかが問われそうだ。