第3クォーター、横浜のビッグラインナップを打ち破る活躍
横浜ビー・コルセアーズと富山グラウジーズの第1戦。第3クォーターに横浜を圧倒した富山が87-67の快勝を収めた。
横浜は序盤からゾーンディフェンスを多用しつつ、ジョシュア・スミスに簡単にパスを入れさせないタフな守備を遂行し、スローな試合展開に持ち込むことでリーグNo.1の富山の得点力を封じ込めようとする。リチャード・ソロモンが戦線離脱中で帰化選手もいない富山に対し、横浜の攻めの狙いはインサイド。前半に放った3ポイントシュートはわずか6本。じっくりと攻めを組み立て、ミスマッチを生かす攻めは第2クォーターになって噛み合う。ガード陣も須藤昂矢が宇都直輝のマークを強引に押し込んで得点を奪うなど奮闘を見せ、常にビハインドを背負う展開ながら、35-41と点差を詰めて前半を終えた。
前半はジュリアン・マブンガ、スミスともにフル出場。横浜はロバート・カーターとレジナルド・ベクトンの先発に、パトリック・アウダと帰化選手のエドワード・モリスも加えたローテーション起用ができる。この強みを後半に生かしたかったが、その思惑は外れた。
富山は自分たちで『マジッククォーター』と呼ぶ第3クォーターに攻守のギアを上げる。横浜がカーター、アウダ、モリスを並べるビッグラインナップを敷いた時間帯、マブンガとスミスは無理に仕掛けるのではなく、ディフェンスを引き付けてチャンスメークに回った。お膳立てをする相手は岡田侑大だ。第3クォーター残り3分半からの約1分半のうちに、マブンガのスクリーンを受けて2発、マブンガが相手を引き付ける速攻から1発と3ポイントシュートを3本連続で決めてリードを一気に広げた。
こうなると横浜の粘りも続かない。個々は挽回しようとエナジーを出すのだが、それがチームとして噛み合わず。前半はインサイドを丁寧に突いて得点を重ねていたが、2桁のビハインドを詰めたいと焦って3ポイントシュートを連発することに。第4クォーターは試投数11本と3ポイントシュートを多投するも成功わずか2本。自らリズムを崩してしまった。
さらにビッグラインナップで力押しをしようとする横浜に対し、富山は水戸健史がサイズのミスマッチとなるアウダを粘り強いフットワークで守りきるなど、簡単には得点を許さない。そしてオフェンスでは落ち着いてゴール下にパスを入れ、スミスが効率良く得点を奪っていった。
残り2分、水戸のスティールから走った松脇圭志が速攻のレイアップを決め、84-67としたところで勝負アリ。横浜はなおもオールコートプレスを仕掛けるなど最後まで何とかチャンスを見いだそうとしたが、劣勢を覆すことはできなかった。
富山の浜口炎ヘッドコーチは「前半はエンジンがかからなかったが、後半はプッシュできて自分たちのリズムに持っていけた」と手応えを語る。マブンガとスミスという強力な武器を持ちながら、岡田が日本人エースとしてその2人に並ぶ存在になりつつある。またディフェンスマンの水戸、ベンチから出て流れを変える司令塔の阿部友和と、ベテランがピンポイントで持ち味を発揮。選手それぞれの個性が噛み合ってチームとしての力となる、富山にとっては非常に良い形での快勝となった。
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