ビクター・オラディポ

スパーズを退団するラマーカス・オルドリッジ獲得も狙う

昨シーズンはNBAファイナルに進出したヒートだが、その疲れを残したまま迎えた今シーズンはなかなか調子が上がらず、主力選手のケガや健康安全プロトコルによる離脱も重なり、ここまで22勝22敗の東カンファレンス5位と波に乗れない。昨シーズンも東の5位でプレーオフに進出したが、勝率は6割を超えており、このトレードデッドラインまでにシーズン終盤戦に向けてチームを勢い付かせる補強が必須となっていた。

そのヒートは大きく動いた。すでに獲得していたトレバー・アリーザに加え、キングスからネマニャ・ビエリツァ、そしてロケッツからビクター・オラディポを獲得。キングスにはモーリス・ハークレスとクリス・シルバ、ヒートにはケリー・オリニクとエイブリー・ブラッドリー、そしてドラフト指名順交換権を譲渡するトレードとなる。

オラディポのトレードは今シーズン2度目で、シーズン開幕後にネッツがロケッツからジェームズ・ハーデンを獲得した際、ペイサーズ、キャバリアーズが絡んだ4チーム間トレードでロケッツに移籍していた。右足大腿四頭筋腱断裂からの復活を目指すオラディポは、ロケッツで20試合に出場し、平均21.2得点、4.8リバウンド、5.0アシストを記録している。

完全復活まであと一歩のところまで来ているオラディポは、ハードワークを信条とする選手でもあり、ヒートのカルチャーにもフィットするはずだ。今シーズン後半戦の活躍次第では、キャップスペースに空きがあるヒートがオラディポとの再契約を決断する可能性もあるため、以前から意中の球団とも噂されていたヒートへ移籍できる今回のトレードは、オラディポにとっても渡りに船だ。ビエリツァも同様に、今シーズンで契約満了を迎える。次の契約を勝ち取るためにも、ヒートで自身の価値を示したい。

ヒートはもともと、ヤニス・アデトクンボがバックスとの契約を更新せずにフリーエージェントになった時に備えていた。アデトクンボは早々にバックスとの契約延長に合意して当てが外れた形だが、今はこのキャップスペースを有効活用することでチームの底上げを図っている。彼らの補強はまだ終わっていない。スパーズとの契約バイアウトに合意したラマーカス・オルドリッジとの契約を狙っているとされており、これが上手くいけば優勝に向けた準備は整う。

ジミー・バトラー、バム・アデバヨが中心のチームにオラディポが加入し、どういうケミストリーが生まれるのか、楽しみだ。