指揮官も称賛「日本を代表する選手とみんな認識しています」
2021年の天皇杯決勝では、川崎ブレイブサンダースが宇都宮ブレックスに76−60で勝利し、7年ぶり4回目の王者に輝いた。昨年の決勝で惜敗している川崎にとっては、Bリーグ開幕以降で初のタイトルとなる。
宇都宮の安齋竜三ヘッドコーチはこう振り返る。「選手たちはプランを遂行しようと頑張ってくれました。オフェンスの部分で第1クォーターはそれなりにトランジションで得点を取れていましたが、セットオフェンスになると相手のビッグラインナップを打開できずに苦しかったです。選手は本当に我慢してミスマッチのディフェンスもやってくれていました。もっと戦術や対策を練って、上に行けるようにやっていきたいです」
この試合、勝敗を分けた大きな要因が川崎の3ポイントシュートだった。前半には増田啓介と大塚裕土、後半に入ると辻直人が効果的に沈めることで、川崎は試合の流れを持っていった。
遠藤祐亮は「今日はスイッチディフェンスを多く使い、ローテーションの中でクローズアウトできる時もありましたが、ミスから大塚選手や増田選手に打たれることが多かった。そこをしっかりクローズアウトできていれば違う展開になった」と悔いた。
比江島慎はこう語る。「増田選手もそうですが、川崎は辻選手とニック(ファジーカス)選手が決めた時に乗ります。最後はニックにやられましたし、もっと辻さんの部分は注意を払うべきだった」
ただ、すぐに再開するリーグ戦に目を向ければ、故障で苦しんできた比江島が12得点でオフェンスを牽引したのは収穫だ。その比江島を安齋ヘッドコーチは「日本を代表する選手とみんな認識していますし、今日は苦しいオフェンスを打開してくれました」と称える。
比江島も「今日の内容に納得しているわけではないですが、もっとディフェンス面でできる手応えがあります。膝も良くなっているし、感覚も取り戻してきているので、しっかりアタックして、アシストだったりフィニッシュの精度をもっと高めていきたい」と、ここからの巻き返しに意欲を見せる。
宇都宮にとって天皇杯の決勝は今回が3度目の進出となる。過去2回は敗れており、3度目の正直を目指したが、頂点には手が届かなかった。だが、ここで立ち止まっている余裕はない。指揮官が、「僕の戦術だったりが、なかなか上手くいかなかたのが敗因です。この悔しさをリーグ戦、東地区優勝、そしてチャンピオンシップに繋げて晴らしていきたいです」と語るように、宇都宮は悔しい気持ちをさらなる成長への糧とし、リーグチャンピオンへの歩みを進めていく。