ショーン・リビングストン

写真=Getty Images

時代に逆行する『3ポイントシュートを打たないガード』

2017-18シーズンのNBAはウォリアーズの2連覇で幕を閉じた。そのウォリアーズは今オフに、デマーカス・カズンズを格安でロスターに加えることに成功。レブロン・ジェームズがレイカーズへ移籍し、カーメロ・アンソニーがロケッツに移籍濃厚となったことで、西カンファレンスはより拮抗すると予想されるが、ウォリアーズが優勝候補筆頭であることに間違いはない。

4人のオールスタープレーヤーが先発に名を連ねるウォリアーズだが、個の力だけに頼らず洗練されたチームプレーが強さの秘密だ。そして、与えられた仕事をまっとうするロールプレーヤーの存在がウォリアーズを支えている。そんなロールプレーヤーの中でも、独特の存在感を放っているのがショーン・リビングストンだ。

3ポイントシュート全盛の現在において、3ポイントシュートが入らない選手はそれだけでマイナス査定となる。だがリビングストンは3ポイントシュートを捨てて、ミドルシュートの精度を極限まで高めた。そして安定したゲームメーク、スマートなディフェンス、高確率なミドルシュートを武器にスター軍団を支えている。プレーオフでは、ベンチメンバーの中で最長となる平均17分のプレータイムを獲得しており指揮官からの信頼も高い。

またNBAファイナル第1戦ではケガのアンドレ・イグダーラの代わりに『死のラインナップ』の役回りを見事に演じて見せた。4人のオールスターとともにプレーし、勝利を決定づけるシュートを決めるなど、替えの利かないベンチプレーヤーという立ち位置を確立している。

そのリビングストンは『The Athletic』のインタビューで「チームとサインできてとても幸運だよ。このベイエリアで素晴らしい選手たち、コーチ、スタッフと一緒にプレーができ、僕はとても幸運だ。僕は夢の中にいるんだ」とウォリアーズ愛を語っている。2007年に選手生命を危惧されるほどの重傷を負って以来、長期契約を勝ち取れずジャーニーマンとなっていたため、リビングストンが喜ぶのも無理はない。

安住の地を見つけたリビングストン。カズンズがケガから復帰し、先発に5人のオールスター選手が顔を揃えようとも、そのニッチな需要はなくならないだろう。