プレータイムはリーグ4位、ボールタッチは2位、スクリーンアシストは1位
ペイサーズはヘッドコーチにネイト・ビョーグレンを迎え、8勝4敗と好スタートを切りましたが、以降は6勝10敗と勝率5割まで下がってきました。特に1桁得点差の試合で5勝10敗と、接戦を勝ち切れないことが響いています。TJ・ウォーレンがケガで離脱し、エースだったビクター・オラディポをトレードで放出したことで、試合終盤の戦い方が課題となっています。
昨シーズンにオールスターに選ばれたドマンタス・サボニスは、平均25.1得点、11.6リバウンド、5.7アシストと今シーズンも素晴らしい成績を残していますが、そのプレー内容には変化が出ています。これまでもチームオフェンスの中心ではあったものの、ハンドオフやピック&ロールを使ったコンビプレーを生み出す上手さと、献身的なスクリーンやゴール下でのフィジカルな競り合いといったハードワークがサボニスの仕事でした。
それが今シーズンは、コンビプレーではなく個人技で自ら得点を奪うことを求められています。チームメートはシューターとして広がり、サボニスが個人技で仕掛けやすい状況を作っていますが、クラッチタイムのフィールドゴール成功率は38%と、チームを勝利に導く活躍ができているとは言い難い状況です。
それでもビョーグレンはサボニスを信じ続け、サボニスも期待に応えるべく奮闘しています。オーバータイムに持ち込まれたティンバーウルブズ戦では、カール・アンソニー・タウンズとのマッチアップで36得点17リバウンド10アシストとトリプル・ダブルの活躍でチームに勝利をもたらしました。特にオーバータイムの5分間には5得点1アシスト、さらに2つのスクリーンでペイサーズが挙げた13得点すべてに絡み、苦戦していたクラッチタイムでも輝きを放ったのです。
負ければ勝率5割を切る試合でしたが、シーズン前半ということもあってチーム成績にこだわることなく、トリプル・ダブルの上でクラッチタイムの勝敗まで託したように、ビョーグレンは一貫してサボニスに負荷をかけ続けています。今シーズンのサボニスはリーグで4位の36.4分のプレータイムで、リーグ2位の98.7回のボールタッチ、リーグ1位の6.8回のスクリーンアシストと、得点やアシスト以上にプレーに関与することが多く、『リーグで最も働いている選手』といっても過言ではありません。その上で疲労の溜まる試合終盤に勝利を決定づけるプレーまで求められています。
サボニスの負荷が大きすぎることが勝率の低下に繋がっているのは事実ですが、ペイサーズがその中でもう一段階上のスーパースターに成長することをサボニスに求めています。ここ数シーズンのペイサーズはレギュラーシーズンで素晴らしい戦いをしながら、プレーオフではファーストラウンドで敗退し続けており、それがヘッドコーチ交代にも繋がりました。大物スターを獲得するのが難しい代わりに、層の厚いロスターを作ってきたペイサーズですが、この先に進むためにはサボニスが『試合を決めるスーパースター』になる必要があります。
多くの仕事量をこなしながら試合も決めているプレーヤーとして挙げられるのはニコラ・ヨキッチです。彼が成長することでナゲッツは『プレーオフで勝てるチーム』へと変わりました。サボニスも同じようにプレーヤーとして成長し、ペイサーズを次のステージに引き上げられるか。これからもウルブズ戦同様に、試合を決めるプレーが期待されます。