低調なパフォーマンスに「情けないの一言」
横浜ビー・コルセアーズは外国籍選手のファウルトラブルで終盤に失速し、島根スサノオマジックとの第1戦を64-74で落とした。得点頭のロバート・カーターと帰化選手のエドワード・モリスをケガで欠いた状況を考えれば善戦と言える。ただ、特別指定選手ながら誰よりも勝利に飢える河村勇輝にとっては、自分の力不足を痛感させられた試合となった。
河村は21分間の出場で5得点2アシスト2ターンオーバーを記録。フィールドゴールは11本中2本の成功(18.2%)と精度を欠いた。「決めるべきところを決めきれなかった。スタッツを見てもらえれば、誰が見ても情けないと思われる」と、河村も自身の数字と正面から向き合った。
また「自分が出た時に流れが悪くなったシーンがたくさんありましたし、実力不足を感じました。チームどうこうよりもポイントガードとして、お返ししないといけない部分がありますし、情けないの一言です」と自分を責める言葉が並んだ。
確かに不用意なパスをスティールされ、失点に繋がるターンオーバーもあり、得点が欲しい場面でのシュートがネットを揺らすことはなかった。実際、コートに出ていた時の得失点差を表す数字は-11だ。「ポイントガードとしてワンマン速攻を食らうようなターンオーバーをしているようじゃ試合に出てる資格はないなって気はします」と河村は言う。
「勝ち負けにはポイントガードのゲームコントロールが重要になってくる」
河村は以前から「もっと責任感を持ってチームを引っ張っていく」と、強い気持ちを持って横浜の一員としてプレーしている。特別指定選手がそこまでチームを背負う必要はないのではと思わざるを得ないが、河村は特別指定選手だからこそと語気を強める。
「特別指定とはいえ、自分が入ることによってプレータイムが少なくなる先輩がいたり、シーズン途中に入ったにもかかわらず自分が先に出たり、多く出させてもらってる以上、特別指定とか関係なく、覚悟を持たなければいけないです。特にチームの勝ち負けにはポイントガードのゲームコントロールが重要になってくると思っています。一人で背負っているわけではないですけど、試合に出ている責任や覚悟は持たなければいけないことだと思います」
前節の富山グラウジーズ戦ではリーグトップの攻撃力を止められず、強力なリムプロテクターがいるディフェンスを崩せずに41点差の大敗を喫した。ヘッドコーチのカイル・ミリングは「長いシーズンにはこういう試合もある。ゴミ箱に捨てて忘れるんだ」と選手に声をかけて、気持ちの切り替えを促していた。
だが、福岡第一で日本一を経験し、東海大でもインカレ優勝を達成するなど、『勝つこと』に慣れてきた河村にとっては忘れられない試合となった。「自分自身、バスケ人生であれほどみじめな試合になったことはほとんどありません。監督は忘れろって言いましたが、心の奥に留めておかなければいけない敗戦だったと思います」
「自分は反骨心のかたまりなので、絶対にやり返したいと思っています。そのために練習でコツコツとやるべきことをやって、試合で重ねていくだけです」と、リベンジを誓った。
ビッグマンがいない不利を言い訳にせず真正面から敗戦と向き合い、覚悟と責任を持って試合に臨む河村。『反骨心のかたまり』の反撃はこれから始まる。