「シャックは常に『自分が最高だ』と知っていた」
今年のドラフト全体2位でウォリアーズから指名されたルーキーのジェームズ・ワイズマンは、開幕から7試合すべてで先発センターを務め、ここまで平均プレータイム21.7分で11.4得点、6.1リバウンド、1.7ブロックとまずまずのプロキャリアのスタートを切っている。
そのワイズマンをメンフィス・イースト高校時代に指導していたのが、現在メンフィス大でヘッドコーチを務めるペニー・ハーダウェイだ。ハーダウェイは、1993年のドラフト全体3位でウォリアーズから指名された後、マジックにトレードされ、当時のチームの柱だったシャキール・オニールとデュオを組んだ。細身ながらドライブから力強いダンク、アクロバティックな体勢からでもシュートを決められる身体能力の持ち主で、シャックとのデュオで1994-95シーズンにNBAファイナルにマジックを導いた経験を持つ。
ルーキー時代からNBAのインサイドを支配してきたシャックを知るハーダウェイは、『The Athletic』の取材でシャックとワイズマンの違いについて「ジェームズは、シャックのようなしたたかさがない」と語った。
「シャックは常に『自分が最高だ』と知っていた。ジェームズも今でこそ、その考えを持ってはいるけど、シャックは常に自分が選ばれし者だと分かっていたと思う」と言うと、彼らが育ってきた環境の違いにも触れた。
「シャックには軍事基地で働く継父がいた。その軍人としてのバックグラウンドが、シャックをタフにしたんだ。一方、ジェームズには母親と妹がいて、悪い意味ではないが、彼は温かい家庭で育ってきた」
高校に入った時は身体の線が細かったワイズマンを、ハーダウェイはペイント内でも戦えるようにフィジカル強化を図り、よりタフな選手へと成長させた。ハーダウェイは「ジェームズはよくチャレンジしてくれたよ」と当時を振り返る。「彼は試合中に吹っ飛ばされても、同じ相手には同じことをさせないようにしていた。転んでも立ち上がって、同じプレーを繰り返していたし、消極的にならずに頑張ってやっていたよ」
ワイズマンにとって高校時代の経験は、今後のキャリアを進める中でも役に立つはずだ。弱冠19歳の彼は、1年目ながらウォリアーズで存在感を発揮している。シャックのようなセンターではなくとも、ワイズマンも自分の道を切り開いてインサイドを圧倒するに違いない。