NBAに戻ってきたケビン・デュラント、セオリー無用の『異次元の個人技』が生み出したネッツの開幕2連勝

NBAに戻ってきたケビン・デュラント、セオリー無用の『異次元の個人技』が生み出したネッツの開幕2連勝

2020/12/28 08:00
ケビン・デュラント

開幕から2試合、58分のプレータイムで51得点を記録

ケビン・デュラントとカイリー・アービングを中心にしたスターターと、昨シーズンまでスターターだった若手を中心としたセカンドユニット。プレーオフレベルのチームが2つ組めるほどの豪華戦力となったネッツは、試合開始から終了まで圧倒的なオフェンス力を見せて開幕2連勝を飾りました。チームとしての強さも想像を超えていましたが、何よりもケガ明けのスーパースターを抱えながら、開幕早々にスターターが機能していることは予想外でした。

連携の良さを発揮するセカンドユニットに対して、スターターはフロア全体に広くポジショニングしてスペースを作り、個人での突破をしやすくするオフェンスシステムを採用していますが、普通は個人技中心でハイスコアにするのは難しいものです。特に2戦目はディフェンスの良いセルティックスが相手だっただけに、この形が成立してしまうことは驚きでした。

際立つのは、やはり『異次元』のプレーを見せるデュラントの存在です。得点力ならば史上最高の選手といっても過言ではないデュラントは、2試合で58分のプレータイムで51得点を奪っています。3ポイントシュートは4本と少なく、ミドルシュートを中心にしながら、ありとあらゆる形で効率的に得点を奪うプレーは、単に効率的なのではなく『異次元』と評したくなる異質な空気をまとっています。デュラントが長期欠場している間に忘れていた『デュラントにだけ許されたプレー』を思い出させる2試合でした。

時代によってプレーのセオリーは変わりますが、現代オフェンスで特に重要なのは『3ポイントシュート』と『ゴール下へのアタック』であり、この2つを生み出せる選手の個人能力を、チームとして効率的に組み合わせていくことが重要です。チーム戦術を強力に牽引する個人技を持っているからこそ、スーパースターとして認められるのです。

デュラントのかつてのチームメートであるステフィン・カリーは、巧みにスクリーンを活用してフリーになり、デュラントをも上回る超高確率の3ポイントシュートを決めてきます。カリーのシュート力にディフェンスが引き付けられると、チームメートは効果的にゴール下を使えることとなり、個人とチームが効率的に組み合わされていました。

また、ラッセル・ウェストブルックの突破力はデュラントを上回り、ディフェンス組織を破壊しながらゴール下に侵入し、パスアウトからチームメートの3ポイントシュートを生み出します。カリーとウェストブルックはNBAの中でも特に強烈な個性を持った選手であり、その個人技からセオリーに沿ったチームオフェンスが構築されています。

しかし、ネッツはデュラントの高いシュート力を生かすためのスクリーナーを用意しておらず、2試合でワイドオープンで打ったシュートは1本しかありませんでした。それでいて高得点を挙げているということは、デュラントには『フリーにするためのチーム戦術』が不要なのです。またドライブして2人に囲まれた時、チームメートへのパスコースのない苦しいシュートであっても個人で決めきりました。スーパースターであっても普通は確率の落ちるはずのシュートですら、高確率で決めてしまうデュラントの個人技は、連携が深まっていない開幕直後でも次々と得点を生み出しているのです。

デュラントは高いシュート力も突破力も持ち合わせている選手です。彼がどんな個人技をするのか、それがチーム戦術にどのように組み合わされるのかと、欠場している間はついつい他の選手と同じセオリーの中で考えてしまいます。

ネッツのスターターをセオリー通りに考えると、一人ひとりの決定力は高くても『オフボールでの連携が足りない』と想像していました。しかし、復帰したデュラントのプレーを見ると、自らの想像力が陳腐であることを痛感させられます。現代オフェンスのセオリーに当てはまらない『異次元の個人技』だけで、効率的に得点を奪えるのがデュラントという唯一無二の存在であり、デュラントがシュートを打ちさえすれば、それが正しいチームオフェンスになるのです。

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