「変化は時に良い影響をチームにもたらす。それが楽しみ」
激戦の西カンファレンスでファイナルまで勝ち上がる充実したシーズンを送ったナゲッツ。最後の試合を終えたのは9月27日で、短いオフを挟んで新シーズンに向けたトレーニングを開始した。
「試合が始まってみないと感覚は分からないけど、現時点でコンディションは予定通りに仕上がってきている」。そう語るのはジャマール・マレーと並ぶこのチームの象徴、ニコラ・ヨキッチだ。「オフが短いので個人的な準備は急ピッチでやった。身体を全く動かさない完全オフの期間をいつもより1週間短くして、ウエイトトレーニングとスキルのトレーニングを同時に始めた。でも慌ただしいのは仕方ない。新しいシーズンこのチームがどんな戦いを見せるのか、僕としても楽しみにしているよ」
この短いオフに彼は結婚した。そのことでバスケへの取り組み方は変わるかと質問されると「結婚すれば選手として成長できるわけじゃないからなあ」と笑顔で語る。「それよりも経験が大きいと思う。NBAで経験を積むことでコンタクトの強さや試合のペースには慣れてきた。特に昨シーズンのプレーオフでは良い経験ができた。シュート力はもっと高めたいし、どんな時でも積極的にプレーできるようになりたいけど、とにかく経験が一番重要だと思っている」
ヨキッチとマレーのコンビは長期契約を結んでおり、彼らを軸としたチーム作りは継続していく。それでも、サポートキャストの退団は避けられない。ポール・ミルサップの契約延長には成功したものの、全体的な選手層は薄くなった。ヨキッチにとっては、ハードワークで自分をサポートしてきたジェレミー・グラント、自分の控えとして特にファウルがかさむシチュエーションで頼りになる存在だったメイソン・プラムリーの不在による影響は小さくはない。
「彼らがいなくなったのは寂しいよ。ただ、新加入の選手がその役割を果たしてくれると思う。それにボル・ボルやマイケル・ポーターJr.はプレータイムが増えて活躍してくれるはずだ。僕としては、ロスターは変わってもシステムは変えずにやりたい。ウチのシステムは機能しているからね。でもそれはコーチが決めることだ」
レイカーズはレブロン・ジェームズとアンソニー・デイビスの契約延長をまとめ、新シーズンも最大のライバルになりそうだが、ヨキッチは「正直、レイカーズのことは気にしていない。僕が気にしているのはナゲッツで、変化は時に良い影響をチームにもたらす。それが楽しみなんだ」と語る。
一方でクリッパーズに対しては周囲の反応が少し気に食わなかったようで、率直な気持ちを明かしている。「今この時期でさえ、カンファレンスセミファイナルでは『クリッパーズが負けた』ことが話題になっているよね。僕としては『ナゲッツが勝った』ことにどうして注目してくれないんだろうと疑問なんだ。みんなロサンゼルスのチームのことばかり気にするけど、勝った僕らをもう少しリスペクトしてほしいよ」
それでも、やはりヨキッチが気にするのは自分たちのことだ。「優勝が目標だけど、焦らずやっていきたい。昨シーズンは僕たちにとってすごく意味のある1年だった。チームとして、個人としての成長にフォーカスして、またカンファレンスファイナルまで行きたい」
若く個性的なタレントが見事に噛み合うナゲッツは、今シーズンも期待して良さそうだ。他ならぬヨキッチが、誰よりも今シーズンのナゲッツに期待を寄せている。