プレースタイルの大改革「積極性も出てきました」
10月から11月にかけて行われたウインターカップ福島県予選で、危なげなく4年連続優勝を収めた県立郡山商業。チームの柱として本戦での活躍が期待されるのが、佐藤杏莉と円谷愛加の3年生コンビだ。
佐藤はキャプテンを務めるポイントガード。東北大会優勝、ジュニアオールスター県選抜など申し分のないキャリアを引っさげて郡山商業に進学し、もともと備わっていたコントロール力にアウトサイドの得点力を上乗せした。
円谷が「焦っている時にモモ(佐藤のコートネーム)の顔を見たら安心する」と評するポーカーフェイスは、「ガードでキャプテンでもある自分が焦ったらゲームが崩壊する」との意識で身につけたもの。緊張は滅多にせず、「ヤバいっていう雰囲気の時こそ、やる気に満ち溢れるタイプ」と話す頼もしいリーダーだ。
円谷は郡山商業が誇るポイントゲッター。ポストプレーから3ポイントシュートまで幅広い得点パターンを備えたパワーフォワードだ。
オールラウンドなプレーの原点は、部員が少なかった中学時代にある。「3年生になるまで部員が10人いなかったので、ボール運びからシュートまで、ある程度自分がやっていました」と振り返る。高校ではポストアップを起点とした力強いプレーに磨きをかけ、佐藤も「ここで1本決めたいって時にしっかり決めてくれる、頼りになるエース」と全幅の信頼を置いている。
円谷と2人でチームの得点の半分以上を稼いでいた須釜心が、7月に負ったケガの影響で、ウインターカップのエントリーを外れる予定。チームはこのアクシデントを受けて、プレースタイルの大改革に乗り切った。円谷は「得点力やサイズが落ちる分、コートに立っている5人全員が攻め、良いディフェンスからオフェンスに繋げるスタイルを磨いてきました」と話し、佐藤は「一人ひとりの意識が変わって、積極性も出てきました」と言う。
チーム発足時に立てた目標は全国ベスト8。2月の東北新人大会で、松本理コーチが目標達成の第一関門として挙げた優勝を果たしたことで、その可能性はより近づいた。「本番まで練習できる時間はあと少し。1秒もムダにせず、チーム一丸となって戦っていきたいです」と円谷は語った。