大倉颯太

「得点効率がイメージしていたものを下回ってしまいました」

12月7日からの開幕が決まった今年のインカレにおいて、男子の優勝候補筆頭は先日行われたオータムカップで頭一つ抜けた強さを見せた東海大だ。4年の西田優大、3年の大倉颯太に八村阿蓮、2年の松崎裕樹。そして、注目ルーキーの河村勇輝と各学年に世代を代表する選手を擁し、さらに佐土原遼と大学に入ってステップアップした選手と大学バスケ界随一の豊富な戦力を誇る。

そんなタレント集団の東海大にあっても日本一のキーマンに挙げたいのが大倉颯太だ。1年生の時からチームの中心を担っている大倉は非凡なシュート力とボールハンドリングに視野の広さを備え、自ら得点を取るだけでなく、味方に点を取らせる術にも長けている、将来の日本代表入りが期待される楽しみなガードだ。

オータムカップにおいて東海大は、先発の佐土原、ベンチスタートの坂本聖芽、河村らがどんどんボールプッシュをする高速バスケで相手ディフェンスを切り崩し、試合の主導権をつかんだ。彼らの積極的なアタックが勝利の原動力になったのは間違いないが、一方でそれだけだとオフェンスが単調になってしまう。時には自重してメリハリをつける必要があり、そのコントロール役を担っていたのが大倉だった。

今、大倉が大学No.1ガードと評されるのは、冒頭で触れた優れたスキルに加え、高いバスケットボールIQの持ち主で、良い意味で学生らしからぬ成熟した戦術眼を備えているからこそ。その聡明さは、79-47で圧勝したオータムカップ決勝後の発言が示している。

「ハーフコートのバスケットで準備していたことも少しはできました。ただ、それよりゲームの流れ的にトランジションのオフェンスが多くなりました。それはもちろん良いことですが、そこでターンオーバーやシュートが単発になったりしたことで、得点効率が少し僕たちのイメージしていたものを下回ってしまいました。もっと詰めの部分でこだわらないといけないと感じました」

そして、オータムカップで得た収穫をこのように語る。「良かったことは1試合が終わって、次の試合まで2週間と間隔が空く中、誰も気を緩ませずに良いコンディションで戦えたことです。試合間隔が空いても、チームとして成長していることを実感できたのが個人的にはすごく良かったです」

大倉颯太

オータムカップで圧勝も「決して満足できる結果ではなかった」

また、コロナ禍で活動がいろいろと制限される中でも、コミュニケーションを積極的に図ってきたことに手応えを得ている。「学生コーチにすごく時間を取らせてしまっていますが、同じ寮に住んでいてみんなで集まってよくミーティングをしています。1年生は分からない部分を積極的に聞いて勉強したりと、チームとしてケミストリーを高めることができていると感じています。良いチームになり、良い試合ができるきっかけになっているのがこのミーティングだと思っています」

大倉は1年時にインカレ優勝を経験したが、2年生になった昨年は、専修大に第4クォーターでの逆転負けを喫しベスト8に終わった。3年生となった今年は、再び歓喜を味わうため、オータムカップでの圧勝にも気の緩みは一切ない「今日のゲームもそうですが、今は伸びしろのある時期だと思います。決して満足できる結果ではなかったので、一からしっかり自分たちを見つめ直し、本当に慢心、過信をせず優勝を目指して頑張りたいです」

東海大には高い身体能力を武器に個で局面を打開できるタレントは揃っている。しかし、バスケットボールはあくまでチームスポーツであり、勝つためには5人で攻めることが何よりも重要だ。オフェンスが一本調子になるのを防ぎ、タレント集団の力を1つにまとめ、より爆発的なものにするには、大倉のフロアリーダーとしての働きが欠かせない。