フリースローの大事さが詰まった試合に
サンロッカーズ渋谷が秋田ノーザンハピネッツをホームに迎えた水曜ナイトゲーム。最終クォーターにフィールドゴールが1本しか成功できなかったことが示すように、SR渋谷は秋田のディフェンスを崩せずに1ポゼッション差まで迫られたが、攻め気を失わずにフリースローをもぎ取ったことで逆転を許さず、89-86で勝利した。
SR渋谷はイージーシュートがリングに嫌われ、そこから速攻を浴びるなど立ち上がりに苦戦した。それでも、アウトナンバーになってもセーフティーがオフェンスファウルを誘発し、ボールへの高い執着心を見せてポゼッションをモノにしていくことでペースをつかんだ。すると、デザインされたプレーからチャールズ・ジャクソンのゴール下や石井講祐の3ポイントシュートが飛び出し、逆転に成功する。
その後はジャクソン、ライアン・ケリー、ジェームズ・マイケル・マカドゥらがオフェンスリバウンドで圧倒し、セカンドチャンスポイントを量産。広瀬健太が速攻からバスケット・カウントを獲得するなどトランジションオフェンスも効果的に決まり、最大で15点のリードを奪った。
秋田の前田顕蔵ヘッドコーチが「チームとしてトランジションディフェンス、リバウンドを簡単にやられてしまったのが大きな問題だった」と振り返ったように、セカンドチャンスポイントで5-16と大差をつけられたことで、秋田は10点のビハインドを背負って前半を折り返した。
だが、後半に入るとディフェンスを修正した秋田が次第に主導権を握っていった。アレックス・デイビスが後半開始1分半で個人3つ目のファウルを犯し、外国籍選手がカディーム・コールビーのみとなってしまったが、逆にボールの流れが良くなりオフェンスが活性化。その結果、SR渋谷はファウルがかさみ、後半開始3分半でチームファウルが5に到達。秋田はこのクォーターだけで21本ものフリースローを獲得し、そのうち15本を成功させて追撃した。
「力強いプレーとメンタルで最後まで戦い抜けた」
秋田は信条とする激しいディフェンスを軸に反撃。古川孝敏が3ポイントシュートを沈め、保岡龍斗が2本のフロースローを成功させ、残り4分19秒で2点差まで詰め寄った。1対1で抜かれず、ゾーンディフェンスも機能し、SR渋谷にタフショットを打たせ続けた秋田がこのまま押し切るかに思われた。
前述の通り、SR渋谷は秋田のディフェンスを崩せず、このクォーターのフィールドゴール成功は1本に留まった。しかし、SR渋谷は苦戦しながらも果敢にリングにアタックし続けたことでフリースローを何本も獲得。1、2ポゼッション差で試合は推移していったが、14本のフリースローを獲得したことで一度も逆転を許さず、同点を狙った保岡の3ポイントシュートが外れて逃げ切った。
SR渋谷の伊佐勉ヘッドコーチは「ディフェンスの強度がすごい秋田さんに外に追いやられて、苦しかった時間帯がありました。それでも選手が要所要所でファイトしてくれて、フリースローをもらえてクロスゲームを勝ち切ることができました」と試合を振り返った。
そして、「チームファウルがかさんでいたので、どんどんペイントにアタックしろと伝えました。フリースローをもらいながら、力強いプレーとメンタルで最後まで戦い抜けた」と、攻め気を失わなかったことが勝敗を分けたと総括した。
6敗のうち4敗が4点差以内の敗北と、接戦で勝ち切れていなかったSR渋谷だけに、今回の勝利が持つ意味は大きい。まだ黒星が先行しているが、勝率を5割に戻す日もそう遠くないはずだ。
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