ピンポイントで得点力と勝負強さを生かす役回りに
2019-20シーズン、デリック・ローズはピストンズで復活を果たした。2008年のNBAドラフト全体1位でブルズに加入したローズは、ルーキーイヤーからエースとして活躍。2011年にはNBA史上最年少でシーズンMVPを受賞し、NBAのトップスター選手となった。ところが2012年のプレーオフで左ひざ前十字靭帯を断裂して以降はケガとの戦いに。ブルズでは天国と地獄の両方を経験した。
ニックス、キャバリアーズで過ごした2年間はほとんど良いところを見せられず。それでも30歳で迎えた2018-19シーズン、ティンバーウルブズの2年目に復活の足掛かりをつかんだ。開幕直後のジャズ戦でブルズ時代の黄金期を上回る、キャリアハイの50得点を記録。大観衆の前でうれし涙を流した。そして今シーズンはピストンズの一員としてコンスタントに活躍。若い頃の爆発的なアスリート能力は失ったが、卓越したスキルと勝負強さで、ことオフェンスに関しては超一流の実力を保っている。
そのローズのレイカーズ移籍は今年2月のトレードデッドライン前にも大きな噂になったが、話は立ち消えになった。その可能性が再燃していると報じたのが『heavy.com』で、あるNBAチームのGMのコメントを紹介している。
「1月2月には互いに消極的だった。レイカーズはバイアウト市場を優先していて、大きなトレードは考えていなかった。またピストンズもローズ自身が満足していたからトレードには乗り気ではなかった。レイカーズはクリッパーズやバックス、ナゲッツといったライバルが獲得に動くことを警戒していた。だが今は状況が変わり、トレードが成立する可能性は高まっている」
ピストンズはトレードデッドラインにアンドレ・ドラモンドやレジー・ジャクソン、マーキーフ・モリスと主力をトレードで放出。今オフはブレイク・グリフィンとローズを軸に新たなチームを編成するのだが、再建であればベテランはそれほど重要ではない。若手とのトレードにメリットは見いだせるはず。レイカーズはラジョン・ロンドがフリーエージェントとなる。レブロン・ジェームズとアンソニー・デイビスに負けない強い気持ちを持った、勝負どころでボールを託せる選手が欲しいところだが、それほどの人材は市場にほとんど出回っていない。ローズが獲得できるとなれば大きなチャンスだ。
ローズは自分の復活を信じてくれたピストンズに恩義を感じており、環境面にも満足している。だが新シーズンのピストンズは『勝てるチーム』ではない。ケガのリスクを考えればエースとしてフル回転するのは難しく、ピンポイントでその得点力を生かす立ち位置がベストだろう。しかも優勝を狙えるチームであれば文句はないはずだ。
ローズとレブロンはキャバリアーズで短い期間だけ一緒にプレーしたが、この時の彼はまだまだ回復途中で満足なプレーを見せられなかった。今ならレブロンと並び立つ自信もあるはず。レイカーズのロブ・ペリンカGMはどんな決断を下すのだろうか。