レイカーズの補強プラン、レブロンの決断に影響必至
1年前、サンダーがペイサーズからトレードでポール・ジョージを獲得した際、大半のメディアは「1年だけの滞在になる」と報じた。しかしサンダーのサム・プレスティGMの見込みは間違っておらず、ジョージはサンダーファミリーに留まることを決断した。
オクラホマシティに戻ったジョージは、ラッセル・ウェストブルックのホームパーティーに参加し、その会場で「まだ分かってもらえていないかもしれないから、あらためて言うよ。僕はここに残ることにした」と表明。『ESPN』によれば、ジョージはサンダーと4年1億3700万ドル(約152億円)のマックス契約に合意したという。
これまで地元ロサンゼルスの名門であるレイカーズに移籍するというのが大方の見方だった。しかし、ジョージはレイカーズを含めサンダー以外のチームとは交渉すら行わずに再契約を決断したようだ。キャリアを左右する一大決心を後押しした背景には、この1年でラッセル・ウェストブルックとの間に芽生えた友情が関係していると言われている。
まずはこのオフ最大の課題を満点でクリアしたサンダーだが、これからの課題は、ウェストブルック、ジョージ、カーメロ・アンソニーの『OK3』をどうするか。アンソニーは契約最終年のプレーヤーオプションを行使して残留することを決めているが、単純計算しても、ジョージの年俸を加えるとサンダーの総年俸は2018-19シーズンのサラリーキャップとして発表された1億186万9000ドル(約131億4300万円)を超過してしまう。
ラグジュアリータックスを科せられる上限までは数百万ドルの余裕しかなくなるため、年俸2792万ドル(約30億円)のアンソニーを放出できればベスト。ただ、これは難しい仕事だ。高額年俸選手で、しかも昨シーズン終了後にベンチ起用を受け入れないことを断言したキャリア晩年のアンソニーの引き取り手を探すのは簡単ではない。最低条件は3チーム間でのトレードで、さらに将来的なドラフト1巡目指名権を譲渡するほどのことがなければ、年々衰えが見られるアンソニーの引き取り手は出てこない。
ジョージ残留は他のチームの方針にも影響する。その余波を最も受けるのがレイカーズだ。当初のプランでは、ジョージとレブロン・ジェームズを同時に獲得する青写真を描いていた。リーグトップクラスの2ウェイプレーヤーが加入すれば、優勝できる環境を求めるレブロンも口説き落とせるとの構想だったが、プラン変更を余儀なくされることになった。
最高の代替案は、スパーズからカワイ・レナードを獲得した上で、レブロンとの交渉に臨むことだろう。しかし、7月1日の時点でトレードが決まる気配はない。レブロンに移籍を検討させられるだけの材料は、将来が楽しみな若手コアがいる、という条件しかないのだ。
ジョージのサンダー残留宣言というサプライズを皮切りに、今夏の移籍市場は大きく動き始めようとしている。