NBAのスキル解説vol.5 ケビン・デュラント「多彩な選択肢を持ったドリブル・ドライブ」

NBAのスキル解説vol.5 ケビン・デュラント「多彩な選択肢を持ったドリブル・ドライブ」

2016/07/22

文=岩井貞憲 構成=ゴールドスタンダードラボ 写真=Getty Images

相手の動きに応じたプレー選択によりドライブは機能する

バスケットボール・プレーヤーに向けて、NBA選手のスキルを解説する連載。今回は、2015-16シーズンのNBAプレーオフにてゴールデンステイト・ウォリアーズを相手に敗れたものの激戦を繰り広げ、さらにはそのウォリアーズへの移籍を決めた、元オクラホマシティ・サンダーのケビン・デュラントを取り上げます。

ご存じの方は多いと思いますが、デュラントはNBAで過去4度の得点王に輝いた生粋のスコアラーです。公称206cm(先日210cm以上の選手と並んだ際に、明らかにデュラントの方が大きい写真が話題になりましたが)の長身から繰り出す、キャリア通算で4割近い確率を残す3ポイントシュートに加え、切れ味鋭いドライブなど、弱点という弱点が見付からないほど多彩なスコアリングスキルを有しています。

今回紹介するのは、デュラントが得意とするドリブルドライブのスキルです。動き自体は簡単そうに見え、実際に他の多くの選手が同じような動きを見せます。しかしデュラントの場合は、エントリーの動きからディフェンダーの動きに応じたプレーの選択という点で、他の選手よりうまく機能しています。

そのため、ストレートに攻めるだけでなく、カウンターのアクション、その場のジャンプシュート、下がってのジャンプシュートなどのオプションも準備しておくことが重要になります。この一連の動きを分解すると、次のように分けられます。

プライマリー:オフェンスの基本的な攻撃方法
アタック:シグネチャースキル(表のプレー)
カウンター:アタックに対する裏のプレー
オプション:アタック&カウンターから派生するプレー


プライマリー:レッグスルー&スキップモーション

レッグスルーをしながらスキップを行い、ディフェンスと空間、時間のズレを作ります。レッグスルーを行ってる際は、足を前後に置いている状態でスキップします。これは、ドライブに行く際に後足で地面を蹴って加速しやすい状態と言えます。ここで相手に揺さぶりを仕掛け、ディフェンスの状況に応じて次のようなスキルを使い分けていきます。


アタック:ストレートドライブ

ディフェンスが反応しない場合、もしくは反応しても直線的に仕掛けられるドライブコースがあると判断したら、スキップの後に加速してゴールに向かいます。基準はワンステップアヘッド(ディフェンダーの脚の横)の空間にアタックできるかどうかです。


カウンターa:クロスオーバーからのドライブ

カウンターb:クロスオーバーからのジャンプシュート

ディフェンスが反応した場合(基本は直線的に仕掛けられるドライブコースが塞がれている場合)、ディフェンスのバランス、脚の位置、スタンスが崩れた瞬間は、クロスオーバーのチャンスになります。ディフェンスのリカバリーの状況、またはヘルプディフェンスの状況を見て、ドライブする(a)かジャンプシュートを打つ(b)かを選択します。


オプション:プルアップジャンパー

ディフェンスがシュート打つ間合いを許した場合や、シュートラインのズレを作れた場合(ディフェンスとの左右のズレ、前後の間合いがほとんどない場合も含む)であれば、ジャンプシュートを打つことができます。ディフェンスがブロックに飛ぶよりも早くシュートが打てる状態であれば、このスキルを選択できます。


ドリブル・ドライブが多く行われる場所はガードポジションとウィングポジション。仕掛けの状況としてはボールダウンから、アイソレーション、ピック&ロールの状況が多くなります。そのためポジションや戦術によって、これらのスキルを使用する頻度は異なってくるでしょう。

またドリブルドライブの状況は、他のドライブ動作に比べて制限がなく、手足の巧緻性を高める上で非常に有効な動きと言えます。ドリブルからの1対1を自由にやらせるのはチームとしてリスクがあるかもしれませんが、ジュニア期には勝利と成長のバランスを見ながら取り入れてみるのも良いでしょう。

これらのスキルを真似する際に最も注意すべきは、プレーの優先順位です。私が考える動作の優先順位は、少ない動きでゴールに至るアクションです。まずはストレートにドライブするスキルの優先順位を高くし、それを止められたら次のプレーを習得するのが良いと考えています。こうしてプレーの幅を広げることが、得点力アップに繋がります。

NBAのスキル解説
vol.1 コービー・ブライアント「センター顔負けのポストムーブ」
vol.2 ジャマール・クロフォード「クロスオーバー~バックチェンジ」
vol.3 アイザイア・トーマス「スモールプレーヤーの得点スキル」
vol.4 カイリー・アービング「ペネトレイトからのフィニッシュワーク」
vol.5 ケビン・デュラント「多彩な選択肢を持ったドリブル・ドライブ」

PROFILE 岩井貞憲(いわい・ていけん)
1987年生まれ、千葉県船橋市出身。「バスケットボールを通じて、最善をつくす喜びを知る選手を育てたい」を指導理念とする。

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