文=鈴木栄一 写真=Getty Images

司令塔とセンター、現役NBAプレーヤーの2人が参戦

いよいよ6月29日、日本代表はワールドカップ1次予選で最後のホームゲームとなるオーストラリア戦を行う。オーストラリアは明らかに格上の相手だが、日本にとっては、そもそも同日に開催のチャイニーズ・タイペイがフィリピンに勝ち、日本がオーストラリアに負けた時点で1次予選敗退が決定する。また、2次予選には1次予選の成績が持ち越されることもあり、現在の0勝4敗から盛り返す意味では、世界レベルの強豪相手とはいえ何としても勝ちたい。

このWINDOW3、日本代表には八村塁、ニック・ファジーカスという即戦力が加わり、大きな戦力アップとなっている。だが、今回のオーストラリア代表にはNBAがオフシーズンとなったこともあり、この1次予選では初めて2人のNBAプレーヤー、ともにバックスで2017-18シーズンをプレーした司令塔のマシュー・デラベトバ、センターのソン・メイカーが加わっている。

デラベドバは、フィジカルコンタクトを厭わない激しいディフェンスが最大の特徴。その名前を大きく轟かせたのはキャバリアーズに在籍していた2014-15シーズンで、カイリー・アービングの故障離脱を受け、プレーオフには主力の一人として奮闘。ルーズボールへの競り合いなどで相手選手ともつれる危険な場面が続いたことで、一部では汚い選手と評されるなどそのプレースタイルに賛否両論が巻き起こったのは記憶に新しい。

ただ、ファイナルの大舞台でステファン・カリーを密着マークで苦しめ、自分よりも一回り以上大きいドレイモンド・グリーン相手にルーズボールの奪い合いで一歩を引かないフィジカル、メンタルの強さは日本にとって脅威でしかない。日本のガード陣はこれまでにないプレッシャーを受けることが予想できる。

ソン・メイカーとの対決は八村の実力を試す格好の機会

メイカーもデラベトバと同じく、まずはディフェンスが光るセンターだ。ビッグマンとしては細身でコンタクトに強いタイプではないが、長いリーチと軽快なフットワークを生かしたブロックは強烈。今シーズンはプレーオフ1回戦のセルティックス戦、先発センターのジョン・ヘンソンが故障離脱したことで第3戦以降にプレータイムを伸ばすと、2試合連続で5ブロックの大暴れ。

メイカーはマッチアップしたビッグマン相手だけでなく、速攻に追いついて背後からブロックする機動力があり、カバー範囲の広さが厄介だ。比江島慎、八村とドライブを得意とする選手が、いかにメイカーのブロックをかわすかも日本が得点を重ねていくには大事なポイントとなる。

オフェンス面ではガードのデラベトバだけでなく、216cmのメイカーも3ポイトシュートを積極的に放ってくる。メイカーに関しては高さ対策でファジーカス、アウトサイドと機動力対策で八村や竹内譲次をマッチアップさせるのか、フリオ・ラマスの起用法にも注目したい。

特にNBAでのプレーを目指す八村がメイカーを相手にゴール下へのアタックでフィッシュに持ち込めるのか。八村にとっては現状の力を試す絶好の機会であり、ここで相手の優位を崩せるかどうかが試合の大きなポイントとなりそうだ。

NBAのプレーオフ進出チームでローテーション入りしているデラベトバ 、メイカーはワールドクラスの実力者だが、NBAと国際ゲームは違う舞台である。相手を尊重することは大事だが、必要以上に相手を大きく見て怖気付く必要はない。2人はチーム合流から間もないし、会場は慣れ親しんでいるNBAのアリーナとは雰囲気も違い、付け入る隙がないわけではないはずだ。