文=丸山素行 写真=鈴木栄一
「1番なんですけど、シューターと言われているので」
女子日本代表は6月8日に行われたチャイニーズ・タイペイとの国際強化試合に96-66と快勝。タイムシェアを敢行しつつ、出場したほぼ全員が自分の持ち味を発揮した。ポイントガードの三好南穂は11分間の出場で、2本の3ポイントシュートを含む10得点を記録している。昨シーズン、自身初となる3ポイントシュート王のタイトルを獲得し、今シーズンも41%と高い成功率を残した3ポイントシュートが三好の最大の武器だ。
素早いトランジションと外角を多投する新スタイルに着手している日本において、3ポイントシュートは生命線となる。この試合で日本が放った3ポイントシュートは実に38本。トム・ホーバスヘッドコーチは「25から35本、平均で25本くらいが一番良いと思うけど、とにかく打たせたい。とりあえず打たせたい」と、3ポイントシュートを打ち切る姿勢を求めた。「もちろん1番の部分も大事だけど、自分は3ポイントをコーチ陣から求められています」と、三好のシュート力への期待は大きい。
三好が放った3ポイントシュートはチーム最多の7本。成功2本と確率は決して良くなかったが、オープンでなくても積極的に狙った結果だ。「スリーを打てるところで打たなかったら、そこをハーフタイムで指摘されました」と三好は明かす。「1番なんですけどシューターと言われています。普通の選手は打たないところでも、ちょっとでも空いたら打たなきゃいけなかった」
激化するポイントガード争いも「自分を磨くチャンス」
吉田亜沙美が抜けたポイントガードのポジションは、町田瑠唯と本橋菜子、藤岡麻菜美と三好の4人で争っている。ポイントガード像は年々変化しているが、ポイントガードにはゲームメークが求められるのが一般的だ。「やっぱり他の2人、藤岡が帰ってきたら3人だし、その3人に比べたら自分はそこは劣るという自覚はあります」と三好は認めている。
それでも「その分、シュートでは負けないと思っているので、コントロールも大事だけどシュートをアピールしていきたい」とシュート特化型のポイントガードとして代表生き残りを狙う。
三好は出場時間こそ限られたがリオ五輪でもプレーしており、若手に引けを取らない自信はある。現在の代表候補は16選手だが、ワールドカップには12人に絞られる。シビアな生存競争だが、三好は相手を蹴落とすのではなく、バスケを楽しみながら切磋琢磨するのが大事だと言う。
「もちろん競争もそうですけど、トップレベルの選手たちと今やれているから、自分を磨くチャンスでもあります。競争ばっかりにならないで自分らしく楽しくバスケして、その結果メンバーに入れたらなっていう感じでやっていきたいです」
『100点ゲーム』を狙う姿勢
チャイニーズ・タイペイ戦は快勝を収めたが、前半に大量リードを奪ったことで後半はやや集中力を欠いていた。40分間安定したプレーが遂行できなかったことは課題で、三好も「本当に残念」と悔いた。「流れが良くないままずっと20分間やり続けたので、それは良くなかったです。個人的にもミスが多かったから、そこを切り替えなきゃいけなかったです」
最終スコアは96-66。終盤、三好は得点を100の大台に乗せるために3ポイントシュートを連発した。「100点というのもあったし、点数も離れていたので。僅差だったらゲーム展開も変わってくると思うけど、みんな自分らしさを出していきたいなと思っていて、大差だったのでそこは思いっきり打っていきました」
結果的にシュートは入らなかったが、『100点』を目指すことも三好の言う楽しむバスケにつながっている。そして、勝敗が決している中でも攻め手を緩めず自らをアピールするその姿勢は指揮官に好印象を与えたはずだ。