王者ラプターズを撃破したセルティックス、シアカムを封じたジェイレン・ブラウンの『殊勲のディフェンス』

王者ラプターズを撃破したセルティックス、シアカムを封じたジェイレン・ブラウンの『殊勲のディフェンス』

2020/09/13
ジェイレン・ブラウン

守のブラウンと攻のテイタムが生み出した『わずかな差』

『GAME7』までもつれた東のカンファレンスセミファイナル、セルティックスvsラプターズは、ブラッド・スティーブンスとニック・ナースという現在のNBAを代表する戦略家の戦いで、最後までどちらに転がるか分からない緊張感のあるシリーズとなりました。実際に、試合ごとにアジャストとチャレンジが繰り返され、両者の微妙な力関係は揺れ動き続けました。

しかし、初戦から変わらなかったのは、ラプターズの新たなエースとなったパスカル・シアカムがジェイレン・ブラウンのディフェンスに押さえ込まれたことです。

パワーフォワードながらクイックネスに優れ、滑らかなスピンムーブと柔らかなフローターを持つシアカムは、3ポイントシュートの改善もあってオールスターにまで成長しました。シアカムを止めるために複数のディフェンダーが集まり、そこからラプターズのチームオフェンスが展開されるのが通常のパターンとなります。

しかしセルティックスはブラウン1人にシアカムの対応を任せるゲームプランで臨みました。オールスターを逃したもののルーキー時代からディフェンス力に定評のあるブラウンは、シアカムのドライブを『完璧』と表現してよいほどに封じ込めました。ドリブルをついた一歩目にはコースに入ってくるブラウンによって、シアカムはスピンムーブもフローターも使えませんでした。

特に右方向へのドリブルは徹底的にコースを切り、プレーパターンが限られる左方向に進ませました。こうなるとシアカムはタフショットを打つしかなく、さらにシリーズが進むと迷いの生まれたシアカムは自滅のようなミスを連発します。どのプレーを選択しても止めてしまうブラウンの見えない圧力に、シアカムが屈したようなシリーズとなったのです。

ラプターズもエンドラインに追い込まれるのを避けるためにプレーエリアをトップ周辺に変更したり、オフボールで動かして3ポイントシュート中心に切り替えたりと、シアカムにリズムを取り戻させるための修正を試みました。第4戦ではブラウンのファウルトラブルもあって、このシリーズ唯一の20得点を超えたシアカムでしたが、続く第5戦では再び10得点に抑えられ、リズムを取り戻すことはできませんでした。

第7戦の終盤、ブラウンが第6戦で試合を決める活躍をしたノーマン・パウエルを止めるためにマッチアップを変えると、シアカムはドライブから得点を生み出しており、勝負弱いわけではないことを示しています。昨シーズンの優勝に貢献したシアカムのアタックを止め続けたブラウンのディフェンスは、シリーズを通じてアドバンテージを生み出し続け、セルティックスが勝ち進んだ最大の要因となりました。

シアカムがブラウンのディフェンスに苦しんだように、セルティックスのエースであるジェイソン・テイタムもまたOG・アヌノビーのディフェンスに苦しみました。7試合で合計170点を奪ったテイタムですが、最も多くマッチアップしていたアヌノビー相手には15点しか取れておらず、『完璧に抑え込まれた』と表現してもいいぐらいですが、テイタムは止められて止められてもアタックし続けており、自信をもってシュートを打ち続け、エースとしての役割を果たしました。

テイタムはアヌノビーをマッチアップから外してのドライブや、シューター的に振舞うなど、徹底マークされた中でも様々な形で仕掛けていく豊富な得点パターンを持っていました。

テイタムの個人技は日々のトレーニングの中でブラウンの強烈なディフェンスを相手に磨かれたもので、ブラウンの隙のないディフェンスはテイタムの多彩なオフェンス相手に磨かれてきました。セルティックスとラプターズの差はわずかでしたが、その『差』を生み出したのは、チームメートである2人がお互いの能力を高め合った結果なのかもしれません。

今シーズンの対戦ではブラウンとテイタムが上回りましたが、試合後の会見でのラウリーは、シアカムについて「この経験を糧にして成長してほしい」と発奮を求めています。セルティックスとラプターズのライバル関係は、今後もこの4人の選手を中心に続いていきそうです。

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