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優勝した昨年に続き、今年もスパーズのサマーリーグチームを指揮

そう遠くはない将来、NBAで史上初の女性ヘッドコーチが誕生するかもしれない──。ラスベガスでのサマーリーグでスパーズを率いるヘッドコーチのベッキー・ハモンを見ていると、そう思えてくる。

ハモンは、元WNBAのスター選手で、引退後は指導者に転身。2年前にスパーズのアシスタントコーチに就任し、女性としては北米4大スポーツ(NFL、MLB、NBA、NHL)史上初のフルタイムアシスタントコーチとなった。

スパーズのヘッドコーチを20年間務めているグレッグ・ポポビッチも高く評価する指導力を持つハモンは、昨年のサマーリーグで、スパーズを優勝に導いている。

サマーリーグは、ドラフトで指名されたNBA公式戦デビュー前の新人や、1年目に出場時間が少なかった2年目の選手、あるいはドラフトにエントリーするも指名されなかった有力選手たちが集まる大会だ。当然、契約を欲しがる選手たちは自分の長所をアピールする傾向が強い。短期間ということも重なり、なかなか一体感のあるチームは生まれにくいもの。にもかかわらず、ハモンはまとまりのあるチーム作りに成功している。チームに的確な指示を伝え、選手たちも聞く耳を持って実行。見事なコーチング力を駆使し、昨年の大会でチームを優勝に導いた。

今年のサマーリーグはトーナメント1回戦で敗れたが、ハモンの評価が揺らぐことはないだろう。彼女自身も、自分の力で道を切り開いてきたと自負している。

スパーズ公式HPとのインタビューで、ハモンは、「私が今この場にいられるのは、バスケットボールにおける自分の能力と経験があるから。それ以外のなにものでもない」と語っている。

プロスポーツは、実力がモノを言う世界だ。NBA史に残る名将ポポビッチから勝利の哲学を学んでいる優秀な指導者に、今後チャンスが与えられないはずはない。女性指導者に門戸が開放される日がいつになるかは分からないが、2年続けてサマーリーグでチームを任されたハモンには、史上初の扉を開ける資格は十分にある。