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NBAの詹皇、妖刀、威少、库昊、大胡子って誰だ?

近年、NBAは想像を超えるスピードでグローバル化が進んでいる。日本でもBリーグの誕生とともにNBA人気の再燃が感じられるものの、アジア最大の市場を誇るのは、お隣の中国だ。

2016年にバスケットボール殿堂入りを果たしたヤオ・ミンを代表とし、過去にNBAで活躍した中国人選手も少なくない。最近ではスター選手がオフにプロモーション活動の一環で訪問することも多く、プレシーズンゲームも中国で開催されるようになった。その中国では、インターネット上でスター選手に漢字のニックネームがつけられている。英語と同じ意味のものもあれば、全く異なるものまで多種多様なのだが、日本や東アジアに詳しい歴史家ニック・カプールが、TwitterでNBA人気選手の漢字ニックネームを抜粋して紹介している。

たとえば、今や誰もが現役最強選手として認めるレブロン・ジェームズは、中国でも『キング』で通っているようだが、漢字では『詹皇』と表す。

ウォリアーズのステフィン・カリーはいくつか漢字ニックネームがあるようだが、日本人には『库昊』がイメージしやすいのではないだろうか。カプールによれば、これは『空を台無しにする』という意味のようで、大げさではなくコートのどこからでもシュートを放てば決められる能力を持ったカリーに相応しい。

そのカリーと西カンファレンス・ファイナルで対戦しているロケッツを引っ張るジェームズ・ハーデンのニックネームは『大胡子』。これには深い意味はなく『髭剃り』という意味だ。

同じ西カンファレンスを代表するガード、サンダーのラッセル・ウェストブルックには『威少』というニックネームがつけられている。当初は当て字で『衛斯特布魯克』という愛称だったそうだが、使いやすさ優先で縮められた。しかも、守るを意味する『衛』から、支配という意味の『威』に頭文字がアップグレードされ、青年を意味する『少』と合わさり『威少』に。なんとも中国的な発想だが、バックスのエールに成長したヤニス・アデトクンボのニックネームはさらに興味深い。アメリカ人ですら正しく発音できない人が多いアデトクンボは、中国では『字母哥』。これは、『文字の兄弟』を意味するそうだ。

マイケル・ジョーダンやレジェンドと呼ばれる選手に『王』という漢字が多く使われるのは、我々日本人にも想像がつく。そんな中、カプール曰く「最も格好いい漢字のニックネーム」をつけられた選手こそ、スパーズのレジェンド、マヌ・ジノビリだ。ジノビリの漢字のニックネームは、その名も『妖刀』。今年も3連敗で後がなくなって迎えたウォリアーズとのプレーオフ・ファーストラウンド第4戦、第4クォーターだけで10得点、試合を通じて16得点をベンチから決めて勝利に貢献した姿は、まだ記憶に新しい。切れ味、そして相手を幻惑するテクニックは、まさに『妖刀』だ。

その他にも、クレイ・トンプソンは、短いカーリーヘアーが中国人にはブッダを連想させるところから『佛祖』。日本人が見てもすぐに答えが分かりそうなのは『The Answer』の愛称で知られたアレン・アイバーソンの『答案』や、セルティックスレジェンドの『The Truth』ことポール・ピアースの『真理』など。英語発音に近いという理由だけで、スパーズのカワイ・レナードには『可愛』という漢字ニックネームがつけられているのも面白い。

そのうち、NBAプレーヤーたちが自分のニックネームをタトゥーで入れることもありそうだ。