日本代表のビッグマンは新天地でBリーグ初代王者を目指す
7月14日、栃木ブレックスが竹内公輔の加入会見を開いた。
冒頭、鎌田眞吾代表取締役社長から「Bリーグで初代王者を目指すにあたり、核になる選手となる。チームとして非常に大きな力となる」と紹介された竹内は、「自分の持てる力を出しきって、Bリーグ初代王者を目指して頑張ります」と、栃木ブレックスの一員としての第一声を発した。
「決断は非常に難しいものでした」と、悩んだ末の決断であることを率直に語った。「栃木以外にもたくさんのオファーをいただいて、もちろん広島に残るという選択肢もありました」
竹内はこの夏、「どのクラブからのオファーも聞く」と、自ら移籍先を広く募った。結果、彼には数多くのオファーが届いた。ただ同時に、前所属のドラゴンフライ広島に対する愛着も強かった。「広島でプレーすることも考えました」と竹内は振り返る。
「でもやはりB2はB1よりレベルが落ちます。その中で自分が本気を出さなくてもやれちゃうんじゃないか、そうしたら本気を出さないことがスタンダードになってしまって、絶対に悪影響が出る──」。そう考え、苦渋の決断ではあったが、こうして広島に残るという選択肢を捨てた。
理由はもう一つある。田臥勇太ともっと一緒にプレーしたいという気持ちだ。「僕自身、彼のことを尊敬していて、コートの外でも学ぶことが多かったので。今回、田臥選手に熱心に誘ってもらいましたし」
移籍先を決めたのは、世界最終予選に向けた準備が大詰めの時期のことだ。「合宿中も田臥選手と一緒に行動していて、時には大浴場で風呂に入りながらだったり、時には食事をしながら相談に乗ってもらって、その時に田臥選手も『初代チャンピオンを狙いたいから一緒にプレーしよう』と言ってくれて」。田臥の言葉が、悩んでいた竹内の背中を押した。
田臥、そしてもう一人、代表のチームメートで栃木ブレックスに所属する古川孝敏。この2人のプロ意識の高さに、代表合宿の1カ月間を通じて竹内は刺激を受けていた。それが今回の移籍に繋がったのだ。
栃木行きの決意を固めてから臨んだ世界最終予選では2連敗で敗退と、望んでいた結果を出すことができなかった。竹内は言う。「日本はまだ世界に届いていなくて、国内リーグで切磋琢磨しないと世界との差は縮まらないと思います。そういった面でチャンピオンを目指せるチームで切磋琢磨していかないと。もちろん、ブレックスにはその資格があります」
ロシターと公輔、リーグ最強ビッグマンの競演に期待
栃木ブレックスの印象について、竹内は「まず最初にファンが熱い」と話した。「ファンと選手が一丸となっていて。2年前にプレーオフで戦った時も会場中がブレックスのネイビーのTシャツを着ていて、より一体感を感じて、やりづらかったのを覚えています」
「全日本で一緒だったので」という指揮官、トーマス・ウィスマンのプレースタイルは理解している。「ラン&ガンと言うか、リバウンドを取ったら全員で走ってオールコートのバスケットをするイメージがあります。自分もそのオフェンスに付いていけるように走って、チームの助けをしたい」
その栃木ブレックスは、NBLラストシーズン、優勝を狙えるだけの実力を持ちながらセミファイナルで敗れた。リーグを制するには、あとワンピースが足りなかったということになる。「そのワンピースに自分がなれれば」との言葉には力がこもった。「もちろん自分が活躍できてチームも優勝できたら最高なので、そうなりたいです」
栃木ブレックスはライアン・ロシターの残留が決まっている。NBL最強外国人選手との定評があったロシターに、日本代表のレギュラーである竹内公輔が加わる。この強力ビッグマンの競演は大きな武器となるはずだ。
目標は「基本、ダブル・ダブル」と竹内は言う。つまりはすべての試合で得点とリバウンドで2桁を狙うということ。「僕はインサイドの選手なので、たくさんリバウンドを取って、できたら点も取って、いろんなことをやっていきたいです」
「ロシターは頭の良い選手で自己中心的でもないですし」と、ロシターとポジションが重なってオフェンスが停滞する懸念を一蹴した。「もちろん、僕はチームが勝つためなら引きます。まあ、ダブル・ダブルをしておけばチームには良い影響になると思うので、それがスタンダードになればいいかなって」
こうして竹内は、記念すべきBリーグの開幕を栃木で迎えることになった。「選手としては、やっとリーグが一つになってくれて、やっと日本一を決めるリーグになったという感じです。初代チャンピオンにブレックスの名前を刻めるよう、頑張ります」
ちなみに、プライベートで来たのは「鬼怒川温泉ぐらい」と、これまで栃木には縁が薄かったそうだが、家探しには古川が付き合ってくれるとのこと。チームへの順応には全く問題がなさそうだ。