写真=Getty Images

「楽しくないと感じたら、それが終わりの合図だと思う」

7月11日に現役引退を表明したティム・ダンカンが、動画投稿アプリVivid Streamingで公開されたインタビューで、引退について初めて自分の言葉で語った。

プレーを楽しめなくなったことを引退決断の一因に挙げたダンカンは、「楽しくないと感じたら、それが終わりの合図だと思う」とコメント。優勝5回、シーズンMVP受賞2回、オールスター選出15回という輝かしいキャリアを誇るダンカンだが、控え目な性格で知られ、引退を大々的に報道されることを好んでいない。

「ここまでの反応が起こるなんて想像していなかった」と言うダンカンは、2人の子供、家族との時間を今後は優先したいと話している。

「家族が引退について喜んでいるのか、悲しんでいるかは分からない。でも、僕がそばにいることに満足してくれると思っている。これからは、予定を遣り繰りする必要がないからね。でも、僕がプレーする姿を見られなくなることについては、寂しいと思っているんじゃないかな。複雑な心境だと思う」

「何より最も振り返ることになるのは、出会った人たち」

引退発表から2日後、ダンカンはインタビューの他、自身の心境を1枚の便箋に綴り、声明を発表した。

声明の中で、ダンカンはファン、コーチ、チームメートへの感謝を記している。

「勝った試合、負けた試合のことも今後は思い返すでしょう。ですが、何より最も振り返ることになるのは、出会った人たちです」

「会場、もしくは会場の外で出会ったファンの皆さんに感謝しています。僕の背中を押し、自分を貫かせてくれたコーチたちに感謝しています。生涯の友人であるチームメート、対戦チームの選手にも感謝しています。自分のキャリアの浮き沈みを家族、近しい友人たちと共有できたことにも喜びを感じています」

「そして、子供たちが成長して、自分がしてきた仕事を見せてあげられることが、何よりも大事だと思っています」

NBA史上最高のパワーフォワードと評価されているダンカンのキャリアを考えれば、引退発表も相応の規模で行なわれるべきなのかもしれない。しかし、控え目な生き方を好むからこそ、ダンカンは多くのファン、選手、コーチ、関係者に愛され、リスペクトされてきた。たった1枚の便箋ではあるが、綴られた言葉からは、引退、19年間のキャリアへの思い、ファン、関係者に対する感謝の気持ちを読み取ることができるはずだ。