ルカコーチの厳しい指導は「勝つために必要なこと」
アルバルク東京は日本代表選手を多数抱えることから『タレント集団』と称される。その中心にいる田中大貴はチームの強みを聞かれ、迷わず『ハードワーク』という言葉を挙げた。『タレント集団』というイメージとはかけ離れた言葉かもしれないが、今シーズンからA東京の指揮を執るルカ・パヴィチェヴィッチの譲れない一点こそが『ハードワーク』なのだ。
「ルカはヨーロッパの強いチームを指導してきた経歴の持ち主で、選手にハードワークをすごく求めるヘッドコーチです。世界の国はもっとハードワークしている、その上での指導だったので、自分たちもそれに応えたい思いが強く、勝つために必要なことだと信じて1年間やってきました」と田中はA東京の『ハードワーク』を説明する。
A東京の練習場での取材で「試合をしたほうが楽」という声を聞いたことがある。それほどルカの指導は厳しい。昨夏の準備期間の始動も早かったし、そこからハードワークは徹底していた。日々の練習で徹底的に追い込むだけに、試合を前に選手が過度に消耗する、あるいはケガしてしまうのではないかという不安もあった。だが、このタフな1年を乗り越えた今、彼らにとってハードワークは当たり前の日常と化している。
「正直、体力的にしんどい時もありました。その代わり、チームとしても個人としてもすごくタフになっている感じています。誰が出ても試合の中でハードに戦える状況ができたと思います。ヘッドコーチがハードワークを求める本当の意味が理解できたので、みんなこの準備を大事にやれています」
厳しい状況下でつかんだホーム開催
代表選手を抱えることは名誉であると同時に、選手を取られる不利もある。レギュラーシーズンの半分はワールドカップ予選の準備期間に重なり、試合と試合の間に選手が代表合宿に取られてしまう。ハードワークをモットーとするチームとして、その準備不足は痛い。
そんな状況でも44勝16敗という好成績を残し、ホームコートアドバンテージを勝ち取ったことを田中は誇る。「チーム全員で戦えるという状況が作れずに苦しいシーズンを戦ってきました。この強豪ひしめく東地区で、チャンピオンシップの1発目を自分たちのホームで戦える権利を獲得できたというのは良かったです」
「レギュラーシーズンの最終節の京都戦も今までで一番お客さんが入ってくれて、自分たちもプレーしていて高まることがありました。ファンの声援を受けて戦いやすいなという印象があったので、それをまた今週末に感じられると思うとうれしいです」と田中はファンの声援を力に変えると意気込んだ。
ファイナルの舞台に「何としてでも立ちたい」
強豪のイメージが強いA東京だが、2012年のJBL時代にオールジャパンとリーグ戦の2冠を達成して以来、タイトル獲得から遠のいている。『無冠の帝王』のイメージを払拭するためには、何が何でも優勝が求められる。
田中は言う。「シーズンが始まった時に天皇杯とBリーグのチャンピオンシップ2つを取ろうということでスタートしました。でも天皇杯は優勝できなかったので、このBリーグのチャンピオンシップに懸ける思いは強いです」
「昨シーズンのファイナルをテレビで見ていて、うらやましいな、自分もあの場所に立ちたいな、という思いがすごくありました。間違いなく楽しめると思うので、何としてでもその舞台に立ちたいんです」と田中はファイナルへの強い思いを語った。
昨シーズンは第3戦にもつれた川崎ブレイブサンダーズとの接戦を落として敗退した。だが田中もチームも、この1年で精神的にも肉体的にもタフに生まれ変わった。「流してきた汗が裏切らないと信じて、最後まで戦い抜きたい」と言う田中は、世界基準の『ハードワーク』を武器にタイトル獲得を狙う。
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