
「記録が僕にとって重要だったことは一度もない」
現地3月15日に行われたサンダーvsティンバーウルブズは一進一退の攻防が続く接戦となった。その要因は、2年連続のシーズンMVPへと突き進むシェイ・ギルジャス・アレクサンダーのシュートタッチ不調にあった。盤石の安定感を誇るサンダーのエースにも、疲労はあるし、シュートがリムに嫌われる試合はある。前半を終えた時点でフィールドゴール10本中2本成功のわずか4得点と振るわず、サンダーも47得点しか奪えていなかった。
第3クォーターに入ってもシェイのシュート不調は変わらず、後半が始まってすぐに3ポイントシュートを1本決めただけで、そこから5本連続でシュートを落とした。ただ、違いはあった。自分にディフェンスを引き付けてパスを出すことで5アシストを記録してオフェンスに流れを生み出し、このクォーターでチームは33得点を挙げて逆転に成功したのだ。
第4クォーター開始時点で80-76とリード。すでに試合の流れはサンダーに傾いていた。それでも第3クォーター終了時点で10得点しか挙げていないシェイにとっては、連続20得点の記録が途切れる危機にあった。
「いつもと同じで、勝つこと以外は何も考えていなかった。今日はロースコアの展開になったけど、ディフェンスに強みを持つチーム同士の対戦だから驚くには値しない。記録が僕にとって重要だったことは一度もない。大事なのは勝って試合を終えること。勝つことがすべてなんだ」と彼は言う。
第4クォーター残り4分に興味深いシーンがあった。シェイのレイアップがアンソニー・エドワーズのブロックに阻まれた後、攻守の切り替えにもたついたウルブズの隙を突いてケイソン・ウォレスがスティールに成功する。数的優位にあるカウンターの場面で、シェイは自分にボールを預けようとするウォレスに向かってリムを指さした。ロブパスを上げれば簡単にアリウープが決まる位置にチェット・ホルムグレンが走っていて、実際にサンダーはこのアリウープでイージーな2得点を奪い、108-93と勝利を決定付けた。
この時点でシェイの得点は14だった。シェイは自分の得点にこだわらず、チームも勝利を優先した。チームが彼の記録に配慮した部分があったとすれば、この後もシェイをベンチに下げなかったことだろう。残り3分、シェイの不用意なパスがカットされるが、次の瞬間にアレックス・カルーソがボールを奪い返し、シェイに戻す。この一連のプレーでウルブズのディフェンスから解放されたシェイは17得点目となる3ポイントシュートを決めた。
そして残り1分46秒、執拗なマークを続けるエドワーズの上からジャンプシュートを決め、さらにファウルも引き出す。MVPコールを受ける中でボーナススローを決めて、得点を20に乗せた。
「観客席が盛り上がっている意味が分からなかった。タイムアウトでベンチに戻る時に『ああ、20得点だったのか』と気付いたよ。でも、今日は記録のことじゃなく素晴らしい活躍を見せた仲間を称えたい。僕が10アシストを記録できたのは、みんなが準備を怠らずシュートを決めてくれたからだ」とシェイは言う。
エドワーズかドンテ・ディビンチェンゾのどちらかが必ずマークに貼り付く徹底した対策に苦しみ、年に一度あるかないかというレベルのシュートタッチ不調も重なったが、最後まで自信を失わないシェイのプレーがチームを勝利に導いた。
彼は表情を変えることなくこう言った。「試合と練習を重ねて経験を積むうちに自信は増していく。経験から学び、向上しようと努めている。自信を持たないという選択肢はないよ」