新人王当確のジャ・モラントはここでシーズン終了
新型コロナウイルスの感染拡大を避けるための隔離エリア『バブル』で再開となったNBAの今シーズンは、プレーオフの前に西カンファレンスの8位と9位チームによる『プレーイン』が行われ、トレイルブレイザーズとグリズリーズが激突した。勢いで上回るブレイザーズが接戦を制して、プレーオフ進出を決めた。
試合開始から5分間は静かな立ち上がりだったが、デイミアン・リラードがこの試合最初の3ポイントシュートを決めた瞬間からブレイザーズが勢いに乗る。ハーフラインを超えたらどこからでもシュートを決めてくる絶好調のリラードへの厳しいマークを逆手に取り、他の選手が全員得点を奪うバランスの良いオフェンスで得点を伸ばし、ディフェンスではモラントのピック&ロールに対して完璧な対応を見せる。5分間で19-3の怒涛のランで、ブレイザーズが先手を取った。
それでも第2クォーターの開始から、モラントに代わって投入されたカイル・アンダーソンがリズムを変える。ヨナス・バランチュナスの高さと強さを生かすとともに自らもズレを突いて得点を重ね、開始3分で15-2のランを返して、ベンチで休んでいたリラードをコートに引っ張り出した。
その後は両者が一歩も引かない大接戦に。第1クォーターは『プレーオフの雰囲気』に押されてミスの多かったモラントも復調し、新人王に相応しい積極的なプレーでグリズリーズを引っ張った。
後半に入ると1桁の点差の中で、どちらかのチームが流れに乗るかと思えばもう一方が盛り返す展開に。だが、終盤の接戦となれば3点差、3点差、1点差でレギュラーシーズンの最後を3連勝で締めたブレイザーズには絶対の自信があった。残り3分、CJ・マッカラムがモラントを振り切ってステップバックでの3ポイントシュートを決めて同点に追い付くと、一気に勢いに乗る。モラントのアタックをダブルチームで止めると、オフェンスリバウンドを奪ったユスフ・ヌルキッチがファウルを受けつつ押し込んで逆転に成功した。
ここからブレイザーズは一気に試合を決めに行く。マッカラムが再びモラントを振り切って3ポイントシュートを沈め、続くポゼッションでもモラントをかわしてジャンプシュートをねじ込む連続得点で、119-113と突き放す。残り42秒からのブレイザーズの攻め、リラードはドライブを仕掛けた瞬間に相手ディフェンスの3人が寄せて来たのを冷静に見て、右コーナーにキックアウト。パスを受けたカーメロはここまで3ポイントシュート5本を打ってすべて外していたが、この土壇場での1本を確実に決めてグリズリーズにトドメを刺した。
グリズリーズは最後まであきらめず、ディロン・ブルックスにモラントと今シーズンの躍進を引っ張った2人が3ポイントシュートを決めて食らい付くが、敗戦を免れることはできなかった。最終スコア126-122でブレイザーズが勝利している。
ブレイザーズはシーズン再開の時点で7ゲームの差を覆してプレーオフに進出。指揮官テリー・ストッツは「みんなこの2週間で本当に特別なことを成し遂げた」と選手たちを称えた。
試合後のコートインタビューで腰の骨折を抱えながらプレーしていることについて問われたCJ・マッカラムは、かつてのボクシングヘビー級王者マイク・タイソンの名セリフを引用して「背骨が折れちまった」と発言。「治療を受けているし、大丈夫だよ」と続けた。隣にいたリラードと2人で爆笑していたところを見ると、プレーオフに向けてもコンディションに問題はなさそうだ。
リラードの超人的なパフォーマンスが目立ったブレイザーズだが、今回はマッカラムが勝負を決めた。プレーオフのファーストラウンドでは西の1位レイカーズと対戦するが、優勝候補筆頭のレイカーズであっても今のブレイザーズは油断できない相手だ。