取材・写真=鈴木栄一 構成=鈴木健一郎

「しっかり我慢して勝ち切れたのは良かった」

千葉ジェッツは前節、敵地でサンロッカーズ渋谷を相手に連勝を飾った。シーズン後半戦に失速したサンロッカーズ渋谷は、日曜の第2戦で敗れるとチャンピオンシップ行きの可能性が潰える『崖っぷち』で、プレー強度の高いチームディフェンスが復活していた。そのSR渋谷を力でねじ伏せての連勝だけに、価値は大きい。

千葉のエースである富樫勇樹は、第1戦では混戦に決着を付ける第4クォーター16得点の荒稼ぎで33得点を記録。続く第2戦は最終盤まで1ポゼッション差で推移する我慢の展開を耐えて11得点。タフな展開に持ち込まれたが、とにかく2試合とも競り勝った。「調子の良い悪いはありますし、しっかり我慢して勝ち切れたのは良かった」と富樫はこの試合を振り返る。

最近の富樫がよく語るのは「勝ち切る」ということ。長いシーズンも終盤戦を迎え、それぞれの試合で得たものをチームとして積み上げてきた自信がある。だからこそ、内容はどうあれ勝利という結果が必要な時期であることを、富樫だけでなくチーム全体が理解している。苦しみながらの勝利にも「自分たちがやることをやらずに接戦になったわけではない」と富樫は冷静に見ている。「あっちの調子が良い中で、こっちが上回って接戦で勝てた。これはチャンピオンシップ前にすごく良い試合だったと思います。勝ち切るって部分が一番かなと」

「内容から学ぶこともありますけど、プレーオフになったら内容はどうあれ1点でも勝っていればいいので、相手の良いところを削りながら、もちろんその中でも自分たちの良さを出せる時と出せない時があるので、そこは我慢してやっていきたいと思います」

「まあでも、やっぱり1試合でも多く勝って良い雰囲気でチャンピオンシップを迎えることがベストだと思うので」。そう語る言葉が富樫の偽らざる本音なのだろう。結果がすべてであり、言い訳も次のチャンスもないチャンピオンシップを見据えた場合、やはりどこまでも勝負にこだわり、勝ち癖を付けることが重要となる。

「どこと当たるかより、ホームでやることだけを考えて」

地区優勝へ向けたマジックは4。残り5試合はレバンガ北海道、川崎ブレイブサンダース、琉球ゴールデンキングスと強敵揃いだが、それはマジック対象チームのアルバルク東京も同じ。自力優勝のチャンスを握っていることは大きい。ただ、そうなるとチャンピオンシップに意識が向きそうなものだ。もし現在の順位のままレギュラーシーズンが終われば、チャンピオンシップ1回戦で川崎と当たることになる。

その話題になると「遅かれ早かれ、どうせ勝たないといけないチームなので。それ以上にホームでやるということです」と富樫は笑う。組み合わせ云々よりも、チャンピオンシップをホームに持って来ること、それも1試合だけでなくセミファイナル開催までを勝ち取ることだ。

昨シーズンは開幕から5勝7敗とスタートダッシュに失敗。その後の13連勝と天皇杯優勝で勢いに乗り、シーズン終盤に猛烈な追い上げを見せたが、東地区3位でチャンピオンシップのホーム開催を逃し、結果的にブレックスアリーナで戦った1回戦で敗退している。「去年の栃木でのチャンピオンシップで、ホームでやる強みをすごく感じました。今シーズンの目標はチャンピオンシップをホームでやること。そこが最低の目標で、今かなり近づいているので。どこと当たるかより、ホームでやることだけを考えて、そのためには勝つしかない」

「1つでも順位を上げたいです。(3地区間)3位で行った場合、もし琉球と次に当たる場合はアウェーになってしまう。やっぱりホームゲームが確率的には良いので、そこは全員が意識しています。正直、今シーズンは東地区がこういう地区なので(笑)、琉球と三河には離されていましたが、そう思ったら結構詰まってきて。最後は琉球との直接対決もあって、そこはチャンスなので狙いたいと思います」

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