写真=Getty Images

ディヴィンチェンツォの爆発で試合をひっくり返す

4月2日、サンアントニオのアラモドームで行われたNCAAトーナメントのファイナル。イースト地区を制してセミファイナルでカンザス大を破ったビラノバ大、ウェスト地区を制してロヨラ大シカゴ校を下したミシガン大が激突した。

立ち上がりに優勢だったのはミシガン大。試合開始から5分でエースのモリツ・ワグナーが果敢なリムアタックから9得点を重ね、11-6と先行する。ただ、パワーで上回りインサイドを支配しながら、キックアウトからオープンで放つ外角のシュートが決まらずにリードを広げられない。

そこでビラノバ大に流れを引き寄せたのは、シックスマンのドンテ・ディヴィンチェンツォだった。2年生のディヴィンチェンツォはコートに入るとすぐさま得意の3ポイントシュートを決め、ピックプレーからのリムアタック、カットインからパスを呼び込んでのダンクまで決める活躍で試合をひっくり返す。前半終了間際にはチェイスダウンブロックまで披露。その直後にジェイレン・ブランソンが3ポイントシュートを決めて37-28と突き放して前半を終えた。

ディヴィンチェンツォの爆発はもちろん、守備でも立ち上がりにやられたワグナーへのディフェンスを引き締め、その後はレイアップ1本の2得点と満足にシュートも打たせない修正力がビラノバ大の優勢を作りだした。

『柔よく剛を制す』ビラノバ大、ミシガン大を圧倒

後半最初のプレーでワグナーにレイアップでの得点を許すも、ビラノバ大はここからマイカル・ブリッジズ、エリック・パスカルによる7-0のランで、早々にミシガン大にタイムアウトを使わせる。

前半に爆発したディヴィンチェンツォは警戒が厳しくなったことでゲームメークに重点を置き、チーム本来のスコアラーであるブリッジズとブランソンを使って攻めるように。コートに立つ全員がボールをプッシュできる持ち味を存分に発揮し、スピードに乗った多彩な攻めでミシガン大を振り回した。

ミシガン大はワグナーにボールを集めて打開を図るが、後半約5分が経過したところでフィジカルな守備に怒ったワグナーがテクニカルファウルを取られ、冷静さを欠いてしまう。他の選手も強引な1on1でのアタックが目立ち、悪い流れを変えられない。

15点前後のリードで推移していた後半の半分を経過したところで、ディヴィンチェンツォが再びアタックを開始。いきなりギアを上げる攻めにミシガン大は対応できず、残り8分でシュートチェック越しに3ポイントを決められたシーンで敗色濃厚となってしまった。

残り4分を切ったところでディヴィンチェンツォのアシストを受けたブリッジズの3ポイントシュートが決まり、74-52と点差が20点を超える。試合序盤から激しいディフェンスを徹底してきたビラノバ大はスターターの3人が個人ファウル4つとファウルトラブルに陥っていたが、攻守ともにプレーの強度を落とさずに対応。ミシガン大にチャンスがあるとすればここだったが、突くことはできなかった。

最後は余裕を持ってビラノバ大が79-62で勝利。2年ぶりの優勝を成し遂げた。