納見悠仁

今年の3月に青山学院大を卒業した納見悠仁は、今夏に新潟アルビレックスBBとのプロ契約を結んだ。昨シーズンは特別指定選手として島根スサノオマジックでプレーしたが、プロ選手となったことでバスケに向き合う姿勢は自ずと変わりつつある。強豪クラブが集う東地区での戦いに向け、「代表選手とマッチアップしたい」と自信をのぞかせる。そんな納見に新潟入団の経緯や新シーズンの意気込みを聞いた。

「2番から入るのではなくて、1番を軸にしたい」

──チームに合流してみて、感触はどうですか?

島根ではシーズン途中の合流で、最初からチームに入るのは初めてなので新鮮です。新潟は知っている選手や若い選手も多いし、あと島根の先輩である(佐藤)公威さんもいるのでやりやすいです。

──昨シーズンは島根で11試合に出場しました。初めてBリーグを経験して感じたことを教えてください。

大学に比べてサイズがある選手が多いし外国籍選手も2人いるので、コート上の圧迫感を結構感じましたね。プレッシャーや駆け引きの上手さは、大学とは全くレベルが違うと思いました。ディフェンスや審判との駆け引きも難しいです。それでも、やれるところも見つけられました。具体的にはピック&ロールのところ、ペネトレイトしてのキックアウトやシュートの部分は結構できたので、そこは自信を持つことができました。

──今回、プロ契約を結ぶにあたって新潟を選んだ理由を教えてください。

島根では2番で出ることが多かったのですが、僕はポイントガードとしてやっていくことを目指しています。ちょうど新潟も『2番をやってボール運びもできます』という選手ではなく、『1番でしっかりコントロールできて、2番や2ガードで出た時も仕事ができる選手』を探していたみたいで。僕のプレースタイルとも合っているし、1番を軸としてプレーしながらも2番もできるのが僕の選手像でもあるので、そこが上手くハマりました。

──ポイントガードへの気持ちが強いのですね。

そうですね。最初はポイントガードとしての経験を積んで、プレーの幅やいろいろな考え方を学びたいので。ただ、もともとは2番をやっていたので2ガードの時はゲームをかき回すこともできるし、シュートは得意なので、そういった面は2番で出た時に生かせたらと思います。それでも2番から入るのではなくて、1番を軸にしたい考えが強かったです。ポイントガードはボールを持っている時間が長くなるので、周りを使ったりして攻めやすい部分があります。特に大学4年生の時には自分でクリエイトして結構行けたし、ポイントガードだと攻めるところでより攻められて、なおかつ周りも生かすことができます。

納見悠仁

「ケガをすることなく60試合のすべてに出場」

──新潟を選んだ理由には、プレータイムもありますか?

そうですね。ヘッドコーチの福田(将吾)さんもタイムシェアをしながら使うと言ってくれています。試合に出るだけで良いとは思わないですが、プレータイムをもらえることは信頼を得ていること、それだけ結果を出せることだと思います。経験を積むだけではダメだし勝ちに行くことが大事ですが、実戦でしか学べないこともあるので試合に出たいです。

──ただ、新潟のポイントガードには五十嵐(圭)選手、アースフレンズ東京Zから加入した柏倉(哲平)選手がいます。タイムシェアをされるとは言え、プレータイムは勝ち取っていかなければなりません。

圭さんはスピードもあるしシュートも上手い、そしてベテランとしての駆け引きも上手です。哲さんも経験があるし、勝負どころでも使われるような選手です。それでも僕にもやれるところはあると思います。フィジカルはガードの中では強い方なので、そこは負けないようにしていきたいです。そして自信を持ってシュートを打ちきることや他のプレーでも自信を持ってやればできる部分も多いと思うので、弱気にならないようにやっていきたいです。

──チームに合流したばかりですが、自信はどれぐらいありますか?

まだ外国籍選手も合流していないので難しいですが、ピックのところや周りの使い方はやれる感じはありますね。対人練習がまだできていないので分からないですけど、自信を持って練習していきたいです。

──新シーズンにどんなバスケットを目指すのか、ヘッドコーチから伝えられましたか?

24秒使ってノーマークで打つのではなくて、テンポが速いバスケットをしたいと言われています。そのためにも激しいディフェンスをして相手のミスを誘ったり、タフショットを打たせてリバウンドを取って走るバスケをしたいと言われました。僕としてもオフェンスをしっかり組み立ててディフェンスもやる。どっちつかずにならないような練習をしています。

──福田ヘッドコーチはディフェンスを重要視する印象ですが、自信はどうでしょう?

ディフェンスの自信はちょっとないですね(笑)。スピードがある相手に対する間合いは感覚的な部分でもあるので早く感覚をつかんで、チームルールを理解してやっていきたいです。

──新シーズン、チームは目標をどこに置いていますか?

福田さんからは今年は降格がないからいいや、もし降格があっても残留プレーオフに行かないようにしようとか、そういう目標では意味がない、目標は高く持つべきだと言われています。なので僕たちの目標は優勝です。そのためには東地区の強豪チームのどこかを倒してチャンピオンシップに進出しないといけないとか、細かい目標を立ててくれています。

──納見選手自身、プロ1年目となる新シーズンのイメージはできていますか?

昨シーズンは途中から入って途中で終わってしまって、シーズンの入りや終わり方は分かっていないので、そこはしっかり慣らしながら入りたいです。新シーズンはケガをすることなく60試合のすべてに出場することを目指します。そのためにもチームの中でプレータイムを勝ち取ること。そして試合での貢献度やシュート確率、得点、アシスト数などミスを減らし、確率を高くしたいです。

納見悠仁

「自分のプレーを代表選手とマッチアップした時に出せたら」

──マッチアップするのが楽しみな選手はいますか?

代表選手とマッチアップしたいですね。代表選手はすごいと思うけど、その中でも自分ができるところはあると思います。そこで通用すれば自信にも繋がるし、やってやりたいというか、自分のプレーを代表選手とマッチアップした時に出せたら良いなと。あとは他地区なので試合数は少ないですが、島根の選手ですね。昨シーズンはなかなか自分のプレーを出せなかったので、これだけできるようになったよ、というのを見せられたらと思います。

──納見選手も日本代表を目指していると思います。いつ頃に入りたいという明確な計画は立てていますか?

福田さんから「東京の次のオリンピックにはメンバーに入れるようなイメージを持ってやりたいね」と言われています。そのためにも2、3年後には代表合宿に選考されるぐらいの結果を出さないといけない。今はメンバーもヘッドコーチも固定されているから難しいけど、再編成する時やメンバーが変わるタイミングで入れるようにしたいと言ってくれていて。自分ではそこまで具体的に考えていなかったのですが、福田さんが明確に今後のプランを出してくれたのでありがたいです。

──NBAで活躍している八村(塁)選手は高校の同期ですよね。

あいつの試合を見たりすると刺激になりますね。頑張っているからあいつは結果も出ているし。ただ、あいつはあいつで、こっちはこっちなので。僕はBリーグでしっかり結果を出していつか一緒にプレーできれば良いなと思います。

──新シーズンは同じ青学出身のナナー・ダニエル弾選手や赤穂雷太選手もいるため、負けてられないですね。やはり新人王を狙いますか?

彼らにも負けてられないです。でも、新人王は狙いすぎないというか。新人王は確かにそのシーズンの一番の選手ですが、チームに貢献できれば評価もされるので、まずはチームで結果を出したいです。なので新人王はその次で良いかなという感じです。

──それでは最後に、ファンの皆さんへのメッセージをお願いします。

去年とはロスターも結構変わっていますが、昨シーズンの勝率を超えて、なおかつ自分としての結果を出して、皆さんに応援してもらえるようになりたいです。そして記憶に残るように、皆さんに覚えてもらえるようにしたいです。新潟と言えば、圭さんとか池田(雄一)さんですが、自分の名前も出るぐらいの中心選手になれるように頑張ります。