文・写真=鈴木栄一

フィールドゴールとフリースロー成功率100%

3月9日、10日と川崎ブレイブサンダースは96点、99点と2試合続けての大量得点で西宮ストークスに快勝した。そしてこの2日間、ニック・ファジーカス、藤井祐眞とともに得点面で目立ったのがジョシュ・デービスで、15点と、17点をそれぞれ挙げている。

特に10日の試合ではシュート7本中7本成功、フリースロー3本中3本成功のパーフェクト。「すべてのシュートを決められてうれしいね。これからもハードワークを続け、もっと良いプレーをしてチームに貢献していきたい」と試合を振り返る。そして、チーム全体については「北(卓也)ヘッドコーチからの、ボールをどんどんプッシュしトランジションオフェンスをしようという指示をしっかり実行できた」と続けた。

この日に限らず、デービスは3月に入ってから絶好調。ここ4試合において、1試合平均20分の出場時間で16.3得点 シュート32本中27本成功の84%と驚異的な確率を残しており、シーズン平均60%以下と苦手なフリースローも79%を沈めている。

横浜、西宮とともにリーグ下位のチームとはいえ、見事な成績を残しているデービスについて北卓也ヘッドコーチは次のように語る。「後半戦に入ってから非常に動きが良くなっています。リバウンドに加え、昨日、今日とフリースローを高確率を決めてくれました。徐々にチームにフィットしてきています」

「少し前は脚が少し痛いといっていたのが、解消しているのも原因だと思います。シュートは水ものですが、ジョシュのところでこれだけ点が取れているのは大きいです。また、彼はファウルをもらうのがうまく、そこでフリースローをしっかり決めてくれると流れを相手に渡さないで済みます」

難しい起用法も「走り初めて30秒たてばOK」

デービス自身は3月に入っての好成績にも至って冷静だ。「これもバスケットボールの一部で、シュートが決まる時があれば、そうでない時もある。このところ良い時が続いているんだと思う。シュートを狙えるチャンスがあればどんどん打っていくだけで、これまでと違いはない。フリースローも毎日練習している。試合の結果に関係なく、引き続き努力していくだけだ」

シーズン中盤にルー・アマンドソンが加入して以降、デービスはオン・ザ・コート「2」のみの出場が多い。川崎のオン・ザ・コートは「2-1-1-2」で不動で、それはつまり第1クォーターで出場した後、ハーフタイムを挟むと40分以上コートから離れる難しい起用法となっている。

この起用法について北卓也ヘッドコーチは「私も申し訳ないなという気持ちはあります」と明かす。そして「オン1で彼が出ると高さがなくなってしまうので、リバウンドで苦戦していた部分がありました。そこでルーを起用すると、ディフェンスのところは改善できているので、今の起用法で我慢してやってほしい」と背景を語る。

一方、本人は、キャリアで初めてというこの変則的な使われ方についても「最初は、今の起用法に適応するのに苦労した。特に第4クォーターの最初、身体がしっかり動いていないこともあった。しかし、今はコートに入り、走り初めて30秒たてばOKだよ」と気にしていない模様だ。

「目の前の試合に勝つことに集中していくのみ」

これで連勝を6に伸ばした川崎は、東地区で首位に並ぶアルバルク東京、千葉ジェッツを射程圏内にとらえてきた。28日は千葉、30日と31日はA東京とホームでの直接対決もあり、今月中での地区首位浮上も十分に可能な位置にいる。

しかし、デービスは「アルバルクと千葉を追っている状況だが、勝ち続けていれば良いことが起こる。地区優勝への鍵はディフェンスとなる。ただ、今は目の前の試合に勝つことに集中していくのみだ」とあくまで次の試合に集中することを強調する。次週の相手はリーグ下位の滋賀レイクスターズだが、「このリーグでは、どんなチームでも上位を破る力を持っている。相手がどんな成績かは関係ないし、油断できる試合は一つもない」と慢心はない。

ファジーカスに続くゴール下での安定した得点源にデービスがなれるかどうか、川崎がこれからさらに上位へと浮上できるかのキーポイントになってくる。