文=丸山素行 写真=B.LEAGUE 

苦戦しながらも優位を保つ地力

栃木ブレックスvs島根スサノオマジックのゲーム2。チーム一丸の攻めるようなディフェンスで今シーズン最少失点を更新した栃木が78-45で勝利を収めた。

序盤は互いに連携ミスが多く、ターンオーバーがかさんでロースコアの展開となった。それでも栃木は第1クォーターだけでオフェンスリバウンドを8本奪取し、試合を優位に進めていく。そして、強度の高いディフェンスで常にプレッシャーを与え、8ターンオーバーを誘発した。シュート精度が全体的に上がらないながらも、ライアン・ロシターの5得点を筆頭に5選手が得点を挙げ、15-6で第1クォーターを終えた。

第2クォーターに入ると島根が反撃に転じる。オフェンスリバウンドを拾われても、粘り強いディフェンスで我慢し、オフェンスでは積極的にシュートを放っていった。特に山本エドワードの果敢なプレーが目立ち、残り4分21秒には、このクォーター2本目となる3ポイントシュートを沈め、26-26の同点に追いついた。

だが栃木は、喜多川修平が山本からオフェンスファウルを誘って悪い流れを断ち切ると、再びオフェンスリバウンドからセカンドチャンスポイントを積み上げ、竹内公輔のワンマン速攻で締めて再び突き放した。

破壊力抜群の堅守速攻で快勝

栃木の6点リードで迎えた後半、1対1で守り切り、ディフェンスリバウンドを確実に拾って走る、得意の堅守速攻が出てリードを広げる。特に竹内はブロックショット後すぐ走り出し、アウトナンバーを作って2本のダンクショットを叩き込むなど効果的な働きをした。また第3クォーター終了間際の攻防でも、パスカットからロシターが速攻を決める最高の終わり方をした。

52-39と13点をリードし最終クォーターを迎えた栃木は、ここでさらに攻守のギアを一段階上げる。インサイドに簡単にボールを入れさせず、ボールを止めさせてのディナイを徹底。生原秀将の4連続得点、渡邉裕規のタフな3ポイントシュートが決まり、開始1分半の7-0のランで59-39。点差が20の大台に乗ると、島根にこれを覆す力は残されていなかった。

対照的に栃木は最後までパフォーマンスレベルを落とさず、最終クォーターに21-0のビッグランを作った。勝負を早々に決めた栃木は残り2分25秒に、先日特別指定選手として入団した須田昂太郎をコートに送り出す余裕さえあった。

限られた時間の中で積極的にプレーした須田は、3ポイントシュートを1本沈め、黄色で埋め尽くされたブレックスアリーナはこの日一番の歓声に包まれた。

「後半のようなディフェンスがウチの目標」

勝利した栃木の安齋竜三ヘッドコーチは「同じチームに2勝することは難しいことですが、結果として2連勝できて良かったです」と安堵の表情を浮かべた。

栃木のボールプレッシャーは非常に高く、島根にほとんどイージーシュートの機会を与えなかった。シュート成功率を28.6%に抑え、後半はわずか17失点とシャットアウト。安齋ヘッドコーチも「今日の後半のようなディフェンスがウチの目標」と話し、「これをベースにして、もっともっと追求してディフェンスの強度を上げられるチームになっていきたい」とさらなる高みを目指すと誓った。

デビュー戦で3ポイントシュートを決めた須田は「緊張はしましたけど、コートに立ったらいつも通りできました。あの場面は自分が打つべきだなと思ったのでシュートだけ考えてました」と振り返った。

島根はこれで12連敗。鈴木裕紀ヘッドコーチは「前半は粘り強くやれたことで息を吹き返すことができたのですが、後半にかけてはプレッシャーに負けてしまってガードが孤立することが多くなってしまった。インサイドにボールを入れても、全く動きがなくなってしまい、一気に走られてしまった」と敗因を語った。

鈴木ヘッドコーチが言うように、栃木の強烈なディフェンスの前にオフェンスは停滞し、20のターンオーバーを喫した。ターンオーバーから27失点、速攻で16失点と、得点に直結するターンオーバーが多かったことが大きな敗因となった。

連勝を4に伸ばした栃木は、東地区4位サンロッカーズ渋谷とのゲーム差を1に縮めた。次節はアウェーで西地区2位の京都ハンナリーズとの対戦が待ち受ける。上位でのチャンピオンシップ出場を目指すのは当然だが、ワイルドカード争いはまさに混沌としている。代表戦のため1週間の中断を挟むが、熾烈なチャンピオンシップ争いに向けて良い準備が求められる。