文=鈴木健一郎 写真=B.LEAGUE

横浜のペースで試合が進むも『詰めの甘さ』も

三遠ネオフェニックスは同じ中地区の横浜ビー・コルセアーズを豊橋市総合体育館に迎えた。前日のゲーム1は大量97得点を奪う快勝だったが、この日のゲーム2ではビハインドを背負う展開となる。

立ち上がりこそ3ポイントシュートが快調に決まったが、アグレッシブなディフェンスを仕掛ける横浜の勢いに飲み込まれ、ピック&ロールからすぐさま放つ川村卓也のジャンプシュートを止められない。川村には前半だけで18得点を許し、前半を終えて36-45と出遅れた。

それでもハーフタイムに対策を打ち、川村のピック&ロールにはダブルチームでシュートを打たせない修正が効き、第3クォーターには川村をフィールドゴールなし、フリースローによる3点に抑えるが、横浜はそれでも攻守のパフォーマンスを落とさない。川村がダメなら他が空く。経験豊富なジェフリー・パーマーへと軸を切り替えてリードを守った。

ただ、横浜は攻守で上回りながらも各クォーターを三遠の得点で終える脇の甘さもあった。前半ラストはロバート・ドジャーに3ポイントシュートを許した上に、もう一度あった攻撃の機会を連携ミスから手放している。第3クォーターの最後も足が止まってオフェンスリバウンドを奪われ、鈴木達也の得点を許していた。結果的に、この詰めの甘さが最後に響いた。

川村、フル出場&シーズンハイ28得点も報われず

57-64で迎えた最終クォーター、第2クォーター途中で最大17点あったビハインドをここまで詰めた三遠だが、その先がなかなか詰められない。横浜はフル出場を続ける川村が、対策されたピック&ロールを捨てて、ロング3ポイントシュート、ウイングの位置からの1on1で得点して勝利への執念を見せるとともに、再びチームに勢いを与える。川村はこのロング3ポイントシュートでキャリア通算7000得点も記録した。

しかし横浜は勝ち切れない。69-78で迎えた残り約4分、リムにアタックするウェンデル・ホワイトを止めにいったパーマーが突き飛ばされて頭を打つアクシデントが発生。パーマーはそのまま起き上がってプレーを続けたが、ベンチは一度下げて様子を見るべきだった。ここから横浜はパーマーが絡む形で2つのターンオーバーを犯し、これをホワイト、田渡修人に決められ三遠に肉薄される。

ここで三遠にもホワイトのファウルアウトというアクシデントが起きるも、ドジャーが強引に仕掛けてシューティングファウルをもぎ取り、フリースロー2本を決めて1点差に迫る。残り38秒、横浜はエースの川村にボールを託すが、マッチアップした川嶋勇人が1on1で抑え込んでシュートを打たせない。横浜はここで他の選手が川村を助けられなかったのが痛かった。

結局、川村のタフショットが落ちると、三遠は逆襲に転じる。ボールを託された川嶋はドジャーのスクリーンを受けてパーマーを振り切り、ヘルプに寄るウィリアム・マクドナルドの動きを見極めてモリソンに優しくボールを託す。ゴール下でノーマークのスコット・モリソンがこのチャンスを外すはずもなくボースハンドダンクをたたき込み、80-79と逆転に成功した。

残り8秒、横浜は再び川村にボールを託すが、川村は自分が打つよりも可能性が高いと判断して細谷にボールを預ける。だが、その細谷に鈴木が必死で食らい付きズレを作らせず、『打たされた』3ポイントシュートがリングに弾き出されると同時に終了のブザーが鳴った。

三遠は我慢に我慢を重ねて、ホワイトのファウルアウトを乗り切っての大きな1勝で、今後に向けて大きな自信になったはず。一方の横浜は最大17点のリードを守り切れず。これまでも大逆転負けを何度か経験しているが、エース川村が絶好調でありながら勝利を挙げられなかったのは大きなダメージになりそうだ。中断期間前に、両チームの明暗が分かれた。