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シューターという印象が強すぎる結果の過小評価?

ウォリアーズのクレイ・トンプソンの印象を聞かれれば、10人中10人がシューターと答えるだろう。ステフィン・カリーとの『スプラッシュ・ブラザーズ』のネームバリューはもちろん、一度リズムに乗れば短時間で5本以上の3ポイントシュートを難なく成功させられるNBA史上トップクラスの技術の持ち主なのだから当然のことだ。

しかし、トンプソンの真骨頂は、守備にあるとも言える。1月27日にオラクル・アリーナでウォリアーズと対戦したカイリー・アービングは、彼のディフェンスに苦しめられた。

ウォリアーズとセルティックスの今シーズン最後の対戦では、アービングとカリーのマッチアップに注目が集まったが、勝負どころの第4クォーター終盤でアービングのマークについたのはトンプソンで、長いリーチとクイックネスを駆使してセルティックスのエースに仕事をさせなかった。

試合後、トンプソンがまだ最優秀守備選手賞を受賞したことがないと聞かされたアービングは「おかしい話だよ」とコメント。アービングにとっては、トンプソンはドレイモンド・グリーンに匹敵するディフェンダーだという。

「トンプソンは、ウォリアーズのコア4人の中で一番軽視されがちだ。オフェンスではステフ、KDに続いて3番目のオプションだし、ドレイモンドのように毎シーズンで最優秀賞守備選手賞の候補に挙がるわけでもない。彼が注目されるのは、3ポイントシュートをクレージーな確率で決めて、50得点以上を記録した時だけ。過小評価されているよ」

昨シーズンのファイナルでも、トンプソンはフィジカル色の強いディフェンスでアービングやケビン・ラブを苦しめた。その守備力は数字にも表れている。今シーズンのウォリアーズは、トンプソンが出場した時間帯に平均101.5失点を記録。ところがトンプソンが出場していない時間帯の平均失点は、107.5点に増えている。単純計算すれば、トンプソンが出ているだけでウォリアーズは2ポゼッションのアドバンテージを得ていることになる。

オフェンス先行のイメージが定着しているものの、対戦する側にとって本当に厄介なのは、カリーでもデュラントでも、そしてグリーンでもなく、『ジョーカー』の仮面を被ったトンプソンなのかもしれない。