トム・シボドー

10-11シーズンから2年続けてリーグベストの戦績を残す

勝負の世界に『たられば』は存在しない。あるのは結果のみだ。それでも、「もしあの時に……」と考えてしまうのは、ファンだけではなく当事者である選手や指導者も同じ思いを持つものだ。

2010年から15年までブルズのヘッドコーチを務めたトム・シボドーは、多くのブルズファンと同様にデリック・ローズがケガをしていなかったら、球団に再び繁栄期をもたらせたのではないかと考えている。

シボドーは、就任1年目から2シーズン続けて東カンファレンス1位にブルズを導いたが、プレーオフで結果を残せなかった。2011年に史上最年少でシーズンMVPを受賞したローズが再びブルズに栄光をもたらすと思われた矢先、2011-12シーズンのプレーオフ・ファーストラウンドで左膝前十字靭帯断裂という重傷を負ってしまい、8位シードだったセブンティシクサーズがカンファレンス首位を下すアップセットを起こす結果になった。

『First Take』に出演したシボドーは、当時レギュラーシーズン中に選手を疲弊させてしまっていた、という批判があったことについて聞かれると、こう答えた。

「シカゴ時代に私がもっとも誇りに思ったのは、2シーズン続けてリーグでベストレコードを記録できたこと。チームには、史上最年少でMVPに輝いたデリック・ローズがいた。あの時のチームなら、優勝できる可能性があった。しかし、残念ながらデリックがケガをしてしまった。もし彼がケガをしていなかったら、優勝できていただろう」

「彼がケガをした後もチームは戦い続けた。プレーオフで勝つ方法を見出そうとした。その姿も、私がもっとも誇りに思うことの一つだ」

もしローズがケガをせず、ブルズが優勝していたら、シボドーに対する評価も一変したに違いない。考えても答えが出る話ではないが、当時のブルズ、ローズの勢い、成長度合いを思うと、シボドーの口惜しさも理解できる。