金丸晃輔

シーホース三河はダバンテ・ガードナー、川村卓也とBリーグ屈指のスコアラーをチームに加えた新体制で今シーズンを迎えた。開幕前の期待値は高かったが、懸念されていたチームケミストリー構築に時間がかかり、思うように勝ち星を伸ばせないままシーズンは途中で終わってしまった。在籍7年目となった三河の絶対的エース、金丸晃輔はこのシーズンをどのように評価するのか。

「釣り業界でもいろいろな議論があるんですよ(笑)」

──全国に緊急事態宣言が発令され、チームの活動もできないと思いますが、現在はどのような生活を送っていますか?

チームの活動はなく、たまに個人でトレーニングをやっている感じです。太らないように(笑)。

──太りやすいんですか?

太りやすいんですよ。今は家にいないとダメだから、常に食べてる状態で……。今は追い込む時期ではないので、体型維持を目標に週に2、3回ぐらいトレーニングしてます。ご飯を食べるか釣り道具をいじるか、トレーニングするかみたいな感じですね。

──金丸選手と言えばやはり釣りですが、釣りは『三密』にならなければやってもいいんですよね?

それが釣り業界でもいろいろな議論があるんですよ(笑)。釣りは大丈夫っていう考えの人が多くて、それで釣り場に人が押し寄せるじゃないですか。海の堤防にズラーっと人が並んだり、そういう光景が結構SNSで取り上げられて、「三密になるんじゃないか?」っていう議論が結構あるんです。釣りとは言え、自粛した方がいいだろうって。

──そうなると、体型を維持しつつ、ご家族での時間を楽しんでいる生活ということですね。

そうですね、下の子が5歳なんですけど、家の前で自転車の特訓を一緒にしています。普段が忙しいので何をしたらいいんだろうって困っています。ある意味、引退したらこういう状況になるのかなって思ったりもしました。まだバスケしたいので、辞める気はないですが(笑)。

金丸晃輔

「僕の良さをもう一度考え直したんです」

──今シーズンは浮き沈みが激しく、結果的に伸び悩んだシーズンだったと思います。金丸選手は今シーズンをどのように見ていますか?

良いスタートを切れなくて、中盤から徐々に良くなってきたという感じでした。最初につまずいた理由はチームプレーができていなかったことが大半です。オフェンス能力の高い選手が集まっているので、個でなんとかしようというのが目立ちました。それが勝ちに繋がらないことを一人ひとりが気づき始めて、チームがまとまって勝ちに結びついていきました。

新型コロナウイルスで無観客試合になったり、中断していた時期に、チームの調子は上向いていたんです。そこが頂点なのかは分からないですけど、僕はそこからもっと上がっていける印象があったので、本当に残念でしたね。

──個人としてはどうでしょう? 昨シーズンは「何度も心が折れた」と苦労していたようですが?

得点に関しては昨シーズンの方が高いのですが、それは『個』で戦っていたからだと思います。今シーズンは去年以上に苦戦していた部分もあったんですが、ある意味、悩みが吹っ切れて良くなっていきました。

僕の良さは何なんだろうということをもう一度考え直したんです。それまでは3ポイントシュートが圧倒的に少なくて、ランキングの規定本数にも届いてなかったんです。そこで自分は3ポイントシュートからリズムを作っていく選手だっていうことに気づいて、中盤以降は打つことを意識付けました。そこから代表もあって、どんどん良くなっていきましたね。

──確かにラスト3試合は7本以上の3ポイントシュート試投数があって、結果的に最後の試合となった横浜ビー・コルセアーズ戦では17本中11本の3ポイントシュートを成功させました。

打たないと始まらないという気持ちの変化が数字にも現れていましたね。

──それはチームとしてのスタイルを変えたのではなく、金丸選手自身による変化だったのですか?

僕が気持ちを変えただけです。シュートが入るとチームも僕を見てくれるし、僕に打たせようとしてくれるので。そこがチームにとっても僕にとってもプラスになりました。気が付いたのが2月で遅いですけど。

いろいろ試行錯誤してきた中で、ピック&ロールにしてもインサイドアタックにしても、川村(卓也)さんや(ダバンテ)ガードナーだったり、そういう仕事ができる選手がいるので、僕がやる必要はないんですよ。ある意味3ポイントシュートだけにフォーカスすればいいと吹っ切れました。

──特にラスト3試合は神がかっていましたもんね!

最初からやれよって話ですよね(笑)。

金丸晃輔

「皆さんの前でプレーできる日を楽しみに」

──遅くなったにせよ自分のプレーを再確認できたことで、最終的にポジティブにシーズンを終えた印象でしょうか?

開幕の時のまま行っていたらネガティブだったかもしれないですけど、中盤には9連勝もあって上がってきたし、もちろん悔しいですけど、ある意味では良い時に終わりました。表現の仕方が難しいですね。ネガティブでもなく、そこまでポジティブでもないというか、ちょうど中間ですかね。

──昨シーズンは本当に苦しかったと話していましたが、成績を見ると31勝29敗で勝率は今シーズンよりも上でした。

え、勝ち越していましたっけ。

──常勝軍団のイメージが先行しているので、それに比べたら落ちたかもしれませんが、勝率5割は超えていました。

うろ覚えでしたね。それを聞いたら最後だけ良かった感じなので、全然満足できないシーズンでした(笑)。

──調子の悪かった時を忘れるくらい最後の印象は良かったのですね。無観客試合も経験したり、紆余曲折ありました。

普段もあまり緊張しないですけど、あれはプレシーズンマッチみたいな感覚でしたね。一つ覚えているのは、フリースローを打つ時に本当にシーンとしてたんですよ。ホームでもアウェーでも、多少はファンのざわつきがあるのですが、それがなくて本当に嫌でした。

──今シーズンは開幕から65本連続でフリースローを成功させて話題となりました。シーズンを通して78本のフリースローを打って外したのはわずか2本。4年連続でのフリースロー王となりましたが、無観客は難しかったのですね。

外したのは無観客の時ではなかったんですけどね(笑)。

──話の流れ的に無観客だと思いました(笑)。では、最後にファンの皆さんへメッセージをお願いします。

あのような形でシーズンが終わってしまって、もっとバスケがしたかったという思いが強いです。やり残した感がありますし、いち早く皆さんの前でバスケがやりたい気持ちが今は一番強いです。

今は大変ですけど、二度とバスケットができないわけではありません。いつか絶対にみんなの前でバスケットができる日が来ます。今シーズンよりもさらに良いパフォーマンスを皆さんの前で出せる日を楽しみにしているので、皆さんも楽しみにしていてください。その日を楽しみに体形維持を頑張ります(笑)。

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