文・写真=鈴木栄一

ここ一番で光ったエース、ロシターの勝負強さ

12月24日、栃木ブレックスがホームで琉球ゴールデンキングスと対戦。ともに試合序盤から互いの持ち味である激しいディフェンスで相手オフェンスを封じ込める壮絶な守り合いとなったが、よりミスの少ないバスケットボールを展開した栃木が66-60で我慢比べを制した。

昨シーズン主力として栃木のリーグ制覇に貢献した古川孝敏、須田侑太郎が相手チームのメンバーとして戻って来ることが話題となったこの対戦。ブレックスアリーナ宇都宮の最多観客数を前日に続いて更新する超満員の4456人のファンに、2017年最後のホームゲームで勝利をプレゼントした栃木は、これで連敗を4でストップさせている。

第1クォーター、開始3分で5-5と両チームとも試合序盤から堅いディフェンスを見せると、互いに譲らない展開で琉球の2点リードでこのクォーターを終える。第2クォーター中盤、琉球は津山尚大、須田侑太郎による連続3ポイントシュートで7点リードと突き放しにかかるが、栃木も竹内公輔の3ポイントシュート、遠藤祐亮の奮闘などで反撃し、琉球の32-29と僅差のまま前半を終える。

第3クォーターも、互いに譲らない展開となるが、栃木は『元琉球』の喜多川修平がこのクォーターだけで8得点とチームを牽引。さらに守備では失点わずか10に抑えて46-42と逆転する。

第4クォーター、ともにゴール下へのアタックを繰り出し均衡状態が続く。だが、栃木は2点リードで迎えた残り27秒、ここまでわずか5得点に終わっていたライアン・ロシターがミドルレンジからのシュートを成功させ、ここ一番におけるエースの勝負強さが決め手となり、栃木が死闘を制した。

気持ちと気持ち、身体と身体の戦いに負けるわけにいかない

栃木の安齋竜三ヘッドコーチは、「昨日の敗戦からしっかりチームで決めたことをやり続けることを第一に指示しました。あとは気持ちと気持ち、身体と身体の戦いであり、そこで負け続けるわけにはいかない。そういうところを強調して、選手が40分間集中してやり続けてくれたことを誇りに思います」とコメント。

さらに「琉球も自分たちと同じくディフェンスの強度、リバウンド、ルーズボールというところを強調しています。その戦いで1勝を勝ち取れたのは、今後にとって大きい」と、現在リーグ屈指の堅守を誇る琉球相手に、守り合いで勝てたことは大きかったと続けた。

また、「どっちが下がるか、下がらずにできるかの戦いでした」というフィジカルの激しい試合で、計26本のフリースローを獲得したように、琉球のプレッシャーに引かずにアタックし続けたことも勝因に挙げている。

バスケを好きすぎて愛している人たちのチーム

あと一歩で連勝を逃した琉球の佐々宜央ヘッドコーチは、「1試合通して安定した点の取り方がまだまだ未完成のチーム」と振り返り、オフェンスが停滞した時の打開策に欠けるという課題をあらためて実感する試合となった。

かつてアシスタントコーチとして在籍していた古巣との対戦に、「ブレックスはファンが熱いです。そして田臥さん、竜三さんと何よりもバスケを好きすぎて愛している人たちのチームです。そういう人たちと戦えるのは僕らも楽しいし、ファンも熱いものを感じてくれたと思います」と、指揮官自身も熱くなった2試合だったと振り返っている。

栃木では、チーム最多の15得点を挙げた遠藤祐亮も、「最初からエナジーを持ってアグレッシブにディフェスをやり続けて勝てたのは収穫が多いです。チームにとっても自分にとってもすごい自信となる良いゲームだった」と、今後に向けて弾みのつく勝利だったと強調。タフな守備と、強い気持ちのアグレッシブなプレーで難敵相手に接戦を制する。この内容の伴った勝利は、年末の新潟戦、さらにオールジャパンへと栃木に大きな勢いを与えるものになるかもしれない。

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