「もっとバスケットを楽しめたら」
3年連続3回目の出場となった県立福島南はウインターカップ初勝利を目指したが、第4クォーターに突き放されて66-87で敗れた。エースにしてキャプテン、そしてU-18代表の一員でもある半澤凌太は、40分間フル出場で奮闘するも、全国での1勝には手が届かなかった。「キャプテンとして、エースとしてチームを勝たせることができなくて不甲斐ない」と半澤は肩を落とす。
この試合中、水野慎也コーチの檄が飛ぶシーンが多々見られた。「もちろん40分間出続けるのは大変なことですが」と前置きを置いて、「自分が中心選手だということを分かって、シュートの場面を作ったり、リバウンドの場面で彼が活躍できていなかったので僕としては物足りなかった」と水野コーチは語った。
半澤は25得点19リバウンド5スティール3ブロックと大車輪の働きをしていた。それでも「物足りない」との言葉が出るのは、それ以上の期待を半澤へ寄せているからだ。水野コーチは「彼がやらないとウチは勝てない」とまで言う。
対戦相手の正智深谷には、同じくエースにしてキャプテン、そしてU-18代表では半澤のチームメートでもある常田耕平がいる。この試合、常田は半澤を意識し過ぎて気負ってしまったが、半澤の場合は逆だった。「エースとしての自覚が足りなくて、自分が自分が、という気持ちが必要でした」
「公平に3ポイントや合わせの部分でも結構やられてしまいました。もっとバスケットを楽しめたら、もっと良いプレーができたのかなと思います。焦っていつも通りのプレーができなかったです」とライバルとのマッチアップによって楽しむ余裕がなくなっていたと明かした。
水野コーチも悔いる。「ディフェンスのローテーションやリバウンドのこぼれ球のところに彼はいなかった。そういうところを言い続けてきたが、僕の指導力不足で伝えられなかったです。頑張ってほしいところが僕とずれてしまいました」。数字という結果は残したが、水野コーチが一番求めていたのは仲間を引っ張る気概だった。
これで半澤の高校バスケは終わった。それでも県立福島南で得た多くのことを財産にし成長を続けていく。「大学に行って自分が活躍するには何が必要かを考えて、それを身に着けて、(水野)先生に自慢のプレーヤーだと思われるように頑張りたい」
この敗戦を糧に変え、エースのメンタルを手に入れてもう一回り成長した姿を見せることが、先生への恩返しとなる。