「チーム全体が気持ちの踏ん切りはついていました」
3月15日、川崎ブレイブサンダースはレバンガ北海道に97-71で快勝した。一昨日の試合は北海道の3選手に発熱が出た影響から中止となっており、この試合は選手たちに非常に難しい状況での一戦だった。しかし、その中でも川崎の佐藤賢次ヘッドコーチが「このような状況の中でも、集中力を保ちハードに戦った両チームの選手に敬意を表したい」と称えたように、選手たちは見事なプレーを披露した。
前半は互角の展開で終えるも、後半開始からニック・ファジーカス、ジョーダン・ヒース、新加入のパブロ・アギラールを同時起用するビッグラインアップでリズムをつかんだ川崎が、第3クォーターに29−11と大きく突き放して勝利した。
もちろん結果は重要であるが、それでもこの試合において最も重要だったのは無事に終えられたことだった。川崎の辻直人も「まずは、無事にケガ人も出ずに終わったことが良かったと思います」と振り返る。
そして、シンプルに次のことに集中していた。「試合のない期間、ずっと練習してきたことを出そう。それを意識していました。やると決めた以上は、僕だけでなくチーム全体が気持ちの踏ん切りはついていました」
この週末、選手たちは感染リスクへの不安を抱えながらも「一人のプロ選手として、コートに立てば集中するだけです。試合に出ると決めたら全力でやります」と辻も語る見事なプロ意識で、ファンを魅了するプレーを披露してくれた。また、現時点で感染者は出ていないが、それで不安が払拭されたわけではない。
「家族に感染してしまうことだけは避けたい」
辻は言う。「今日の試合は無事に終わりましたけど、自分たち、北海道の人たちに熱が出る可能性もあります」
状況は刻一刻と変わるもの。土曜の川崎に続き、昨日は千葉ジェッツVS宇都宮ブレックスの試合が、発熱を理由に中止となった。これからどうなるにせよ今、リーグと選手は話し合う機会が必要となってくる。辻は、勇気を持って率直な思いを明かしてくれた。
「今、リーグが大変なことは理解しています。ただ、どれだけ大変なのか、例えばこのまま中断が続いた場合、どれだけの損害額となるのか。そういう具体的な情報を伝えてもらえると、より前向きにとらえることができます。もっと選手側の意見も聞いてもらいたかった。中断期間は長かったので、その機会を設けるチャンスはあったのではないかと感じます」
彼らは一人のプロバスケットボール選手である前に一人の人間である。「家族を支える父親であるので、自分がかかったら家族に迷惑をかける。何よりも自分から家族に感染してしまうことだけは避けたいです」
こう語る辻の思いは、何よりも優先させるものだ。図らずもリーグは昨日の川崎vs北海道の開催を知らせるプレスリリースの中で、この先の試合について各クラブの実行委員、また日本バスケットボール選手会と協議した上でBリーグが開催の是非を決定すると発表している。
今後も引き続き、当初の予定通りリーグ戦が実行されるのか。どんな結論になるにせよ、それは選手、クラブ、リーグの意思の疎通がしっかり図られたものであってほしい。そうなることで、より強く一致団結してバスケットボール界はこの難局に立ち向かっていくことができる。
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