キャメロン・ブーザー

「期待値を設定するのではなくスタンダードを確立する」

昨年オフのデズモンド・ベイン、トレードデッドラインのジャレン・ジャクソンJr.に続き、今オフにはジャ・モラントを放出。グリズリーズとモラントの関係が随分前に破綻したことは分かっていても、長きに渡る『チームの顔』の放出がファンを落胆させたのは間違いない。

だからこそ、ソルトレイクシティでのサマーリーグ初戦で、ファンに期待を持たせるバスケを見せることの意味は大きかった。NBAドラフト1巡目3位で指名したキャメロン・ブーザーは、高い期待に応えるパフォーマンスを見せた。

ブーザーは恵まれた体格と強靭なフィジカルを持ち、ペイントエリアで相手を押し込んでゴール下で得点を奪い、そこからのパスで味方の得点も演出できる。現地7月4日に行われたサンダーとのサマーリーグ初戦、試合開始から数秒で彼はペイントを攻め、相手ディフェンスを引き付けて味方にパスを出し、そのリターンをダンクで決めて初得点を記録した。

開始3分でドライブ&キックで3ポイントシュートをアシストし、直後にはペイントアタックを警戒して下がったディフェンスの動きを見てターンアラウンドからのジャンプシュートを沈め、さらには味方のパスを受けて3ポイントシュートも決めた。

多彩なオフェンス力をデビューから数分で存分に披露。24分の出場でフィールドゴール11本中7本成功、4リバウンド4アシストと素晴らしい活躍を見せた。再建をスタートさせたばかりのグリズリーズは、昨シーズンに大きな成長を見せたセドリック・カワードを始め、オリビエ・マクセンス・プロスパーやタイラー・ヘンドリックス、ジェボン・スモール、ジャマイ・マシャックなどNBAですでに経験のある選手を出場させたが、その中でもブーザーがチームを引っ張る存在感を見せたことは特筆に値する。

デューク大では平均22.5得点、10.2リバウンド、4.1アシストを記録する素晴らしい活躍を見せたが、NBAでどこまでやれるかは未知数な部分がある。ブーザーはその懸念を、サマーリーグとはいえ24分のプレーで払拭した。

父は2度のオールスターに選ばれたカルロス・ブーザー。キャメロンと双子の弟ケイデンに「今この瞬間を大切にしろ」とアドバイスを送り、成長を見守ってきた。今はジャズのスカウトを務めるカルロスは、キャメロンのサマーリーグでのデビュー戦をコートサイドから見守った。

上々のデビューを果たしたブーザーは「緊張よりも心地良さがあった。この日のために努力し、準備してきたからね。チームとしても勝ちにこだわる選手が揃い、この1週間で練習してきた成果を見せられて良かった。みんなアンセルフィッシュにプレーして、40分の試合で33アシストという素晴らしい数字を出した。ボールを動かして、お互いのためにプレーするのは楽しいよ。初戦の結果には満足している」と笑顔で語り、こう続けた。

「次の試合でも高いレベルのプレーを見せたい。期待値を設定するのではなく、スタンダードを確立するのが僕たちの目標だ。今日は良い土台を築けたと思うけど、ここからさらに積み上げていくつもりだ。次の試合が今から楽しみだよ」

サンダーは1巡目12位で指名したアダイ・マラをデビューさせたが、シーズンでローテーション入りした選手は誰もサマーリーグに参加していない。しかしグリズリーズは、今後チームを引っ張っていく中軸となるブーザーやカワードを参加させており、すでに『本気モード』だ。