取材・写真=古後登志夫 構成=鈴木健一郎

インターハイを制し、今回のウインターカップでも優勝候補に挙げられる福岡大学附属大濠。チームを支えるのはキャプテンの永野聖汰や200cmのビッグマン井上宗一郎といった3年生だが、力強いバスケットを可能とする動力源は2年生の選手たちだ。U-19日本代表としてワールドカップを経験した中田嵩基と、片峯聡太監督が成長株として名を挙げた浅井修伍と土家大輝の2年生トリオに話を聞いた。

[INDEX]ウインターカップ2017プレビュー 出場校インタビュー

優勝候補の大濠を支える2年生トリオ

──まずは自己紹介をお願いします。

浅井 浅井修伍です。背番号は7番で、得意なプレーはコーナーの3ポイントシュートです。自分は実績はないんですけど、この前初めてU-18に呼ばれました。性格は多分……誰にでも優しい性格です。

中田 中田嵩基です。背番号は13番です。得意なプレーは声を出してチームを引っ張ることです。U-19日本代表です。性格は几帳面で、少しせっかちなところがあります。

土家 背番号12の土家大輝です。得意なプレーは3ポイントシュートとドライブです。実績は全中準優勝と、ジュニアオールスター優勝です。学校や私生活では結構クールぶってるんですけど、バスケになると負けず嫌いです。

──ウインターカップ開幕が近づいてきましたが、今のチーム状況を教えてください。

中田 インターハイが終わって、絶好調からどうやってウインターカップに持っていくかというところで、チームの雰囲気が上がらないとか、非常に難しい時期もありました。一番良い時を知っているだけに、そこになかなか行けないもどかしさがあって。そこはうまく先生も理解してくれたので、冬が近づいてくるにつれてチームの士気は高まっています。

土家 天狗になったと言うか、強いと勘違いした部分がありました。そうなると、それぞれ自分たちのやりたいことを優先してしまい、噛み合わない時期がありました。

浅井 でも、そこは先生が指摘したのもありますが、キャプテンの永野(聖汰)さんや中田、山本(草大)がチームを引っ張って。悪い時でも持ち上げて今の状態に持っていきました。

土家「インターハイ優勝でチームを考えられるように」

──2年生ということで、先輩に気を遣ったりすることはありますか?

中田 気は使っていません。コートを離れれば上級生という立場になるので、そこはもちろん必要最低限の立ち振る舞いはしないといけないんですけど。コートに入れば別です。1年生の頃はそういう気遣いを意識しすぎて、プレーに集中できないこともありました。ですが「そんなの関係なく全員がしゃべるように」と先生が言ってくれて、思ったことを口に出せるチームの雰囲気になりました。逆に言葉を発しないと怒られます。そういうチームの雰囲気作りをしてくれたので、自分たち2年生もコートに入れば思ったことをしっかり伝えるようにしています。

──先ほど片峯監督に取材したのですが、浅井選手と土家選手がすごく成長していると話していました。どういうところが伸びたと思いますか?

土家 僕はシックスマンでしたがスタートになりたくて、それが普段の練習で自己中心的な部分として出てしまっていました。それでもインターハイで優勝したことで気持ちに少し余裕が出てきて、先生から求められていることをしっかり考えつつ、自分が出た時に何をしたらチームの循環が良くなるかを第一に考えて練習に取り組むようになりました。それでチームに貢献できるようになったんじゃないかと思います。

浅井 僕はインターハイでは全然ダメで試合にも出ていなくて、チームのことを何も考えずに自分のやりたいことばかりやっていました。インターハイが終わって練習に戻ったら、やっぱり試合に出たくて。だからチームに貢献するには何ができるかを考え直しました。そこで他のセンターのビッグマンより走れるので、積極的にブレイクに走ったり、オフェンスリバウンドに飛び込んだり、泥臭いところを頑張るようになりました。

──大濠が伸びたのは2年生の成長が大きいと思います。変わることができた理由は何ですか。

中田 副キャプテンの山本を中心に、2年生が一番横のつながりが強い学年じゃないかなと思います。インターハイの時もこのメンバーでやっていこうと思っていたんですけど、ウインターカップに向けて「3年生がいなくなる」という自覚が各々出てきました。自分たちが最上級生になる、やらなきゃいけないという自覚がが最近の練習や試合に反映されてきています。

浅井「馬場さんにダンクされて悔しかった」

──3人いるので、それぞれの良いところと悪いところを教えてください。

土家 浅井は朝からご飯を3杯食べて体重を増やしてフィジカルもついてきています。シュートタッチが良くて走れるし、僕たちが要求することもよく聞いてくれます。やってほしいのは、相手が小さい時にもっとシールして中でやってほしいです。あとは私生活だとカッコつけようとするんですよ。廊下を通る時もちょっと意識してマスクをしたりして。そういうのがバスケに出てくるんじゃないかって(笑)。

浅井 中田は2年生だけど試合中に上級生も引っ張っていく力があります。シュートも入るし何でもできます。私生活では中田もちょっと格好を意識しているところがあります。土家もそうです。おちゃらけてるのにクールぶってるんですよ。

中田 土家は突破力とか、ドライブからのアシストは非常にすごいものを持っていると思います。最近はディフェンスにも一生懸命取り組んでいてスティールも増えていて、そこはすごいなと思います。あとは、たまにノーマークがある時にパスが来ない時があって、自分が流れに乗りたい時に来ない時があるのは直してほしいですね。私生活では非常に頭が良くて、一般生と比べても遜色ないくらいのレベルです。でも、自分のこと以外にあまり興味がないんです。自分が何かやっていたら他のことはいいや、みたいな。自分が誰かをイジりたければどんどん絡むのに、飽きたらもうやめちゃうとか。

──あこがれている選手はいますか?

土家 津山尚大さんです。僕はウインターカップの最後の試合を見て「ああなりたい」と思って大濠に来ました。1年生の時に挫折しそうな時も、「津山さんだったらどうしとんやろ」って考えながらやっていたので。それも2年になってちょっと余裕が出てきて伸びた理由かもしれません。まだ今の自分は、津山さんみたいにチームの中心として3ポイントシュートをボンボン決める選手ではないですけど、来年にはそうやって得点に絡んでいって、リーダーシップをもっと取れるようになりたいです。

浅井 僕はアルバルク東京の馬場雄大さんにあこがれています。いつでもブレイクで走って、ディフェンスもめちゃくちゃ頑張ってルーズボールも誰よりも頑張ってるので。だから自分も馬場さんみたいにどんどん泥臭いところを一生懸命頑張ってここまで来ました。春に筑波大と練習試合をやらせてもらったんですが、今までで一番緊張しました。あこがれの選手と一緒にゲームができてうれしかったんですけど、1回スティールから軽くダンクされて悔しかったです。

中田 僕は幼い頃からずっとコービー(ブライアント)にあこがれていて、みんなはマイケル・ジョーダンのほうが上というイメージを持っているでしょうけど、僕が最初に知ったのはコービーだったので。最初に見た時に「なんでこの体勢からシュートを決められるのかな」と驚きました。相手をおちょくっている感じ、余裕のある感じが好きで、小さい頃からずっと真似していました。でもコービーが引退したことでちょっと変わって、今は田臥勇太さんです。昨シーズンのファイナルも最後のルーズボールに飛び込むところとか、あれが今の僕が欲しいリーダーとしての風格です。